東南アジアの生鮮市場で木片のような食材が山積みになっているのが、スカイフルーツと通称される
オオバマホガニー (mahogany:Swietenia macrophylla King ) の実。
売られているのは10x15㎝前後の大型楕円形果実の内皮。
果肉の下に種を覆うように細長い縦の内皮が幾重にもあります。
それをカットしたのがスカイフルーツ。
優れた抗菌性、抗酸化性が確認されています。
左がスカイフルーツ.右はアーティチョークですがイメージしてください.
東南アジア市場ではマレーシア、インドネシアで通称tunjuk langit 。
英語ではスカイフルーツ(Skyfruits)と呼ばれています。
中国系人に人気が高く、向天果、望天果、朝天果、指天果などいくつもの呼び名があります。
マホガニーは家具、工芸、楽器、建築用の高級木材で知られるセンダン科(Meliaceae)の樹木。
高級材として知られる品種はオオバ以外に俗称キューバ・マホガニー(Swietenia mahogani)、
俗称メキシコ・マホガニー(Swietenia humilis Zucc)がありますが、いずれも絶滅危惧種。
自家栽培物以外は取引できません。
センダン科は500種以上が知られていますが、センダン(栴檀: Melia azedarach)、チャチン(香椿)などが日本人にはなじみの品種。
センダンはチャイナベリー(chinaberry), ホワイトシダー(white cedar)、ペルシャンライラック(Persian lilac), インディアンライラック(Indian lilac)など、様々な名前で呼ばれるほど身近な植物。センダンは優れた抗酸化、抗菌性を持ち、細菌、寄生虫ばかりでなく、ウィルスにも有効ではないかと抗インフルエンザ薬の開発をしている研究者もいるそうです。
スカイフルーツの効能は33種のフラボノイド、27種のサポニンが抽出されているといわれ、高麗人参より優れた活性を示すという研究者もいるようです。
循環器に有用とされ、生産地では高血糖、高血圧に良いといわれますが、実際にはその強壮効果を強精に期待しているようです。
Increase the productivity of male sperm
スカイフルーツはマレーシア・ニンジン(Malaysian Ginseng)として有名なニガキ科のトンカットアリ(Tongkat Ali:Eurycoma Longifolia, Simarubaceae)と同様に使用されているようです。
ニガキ科の植物のテルペノイド成分はカシノイド(quassinoids)と呼ばれ、抗マラリアの効能があるといわれます。
スカイフルーツは食材ではありません。伝統生薬として東南アジアで健康食品となっているだけであり、疫学的な安全性は確認できていませんので用法には十分な注意が必要です。
信頼性は分りませんがマレーシアには下図のような成分表示もあります。
スカイフルーツは同じセンダン科のニーム(neem tree)や高麗人参(Panax Ginseng)
とサポニンのタイプが似ており効能が近いといわれます。
同じ系統のポリフェノール、テルぺノイドのサポニン群を含有しているからです。
(写真上)インドセンダン(印度栴檀:Azadirachta indica)
(写真上)インドセンダン(印度栴檀:Azadirachta indica)
(写真上)インドセンダン(印度栴檀:Azadirachta indica)
タイ語のサダオ、サリアム、英語のニーム(neem tree)で知られる香味樹木野菜。苦味の強いポリフェノールが特徴的です。
タイではスープ類(ゲーン)や昆虫食の寄生虫対策に種には昆虫、微生物を駆除し、哺乳類には毒性が弱い有用農薬として、著名な成分アザジラクチン(azadirachtin)が含まれています。
アザジラクチンは安全性が高い有用農薬として化学合成が急がれていましたが、困難を極めていました。
2007年頃にケンブリッジ大学トリニティーホール(Trinity College)の有機化学者スティーブン・ヴィクター・レイ教授(Dr.Steven V Ley)らが全合成に成功しました。
(生鮮食材研究家:しらす・さぶろう)