関東以西では美味しいシコイワシ、マイワシが相変わらず豊漁で
価格も激安。
末端では大型マイワシが1匹50円前後で販売され、
漁港近辺ではシコイワシ(セグロ)がタダに近い価格。
大衆魚中の大衆魚となっています。
マイワシは獲れない年が続くとキロ2,000円などと高級魚扱いになりますから
都会では今の安値が信じられない人も多いでしょう。
イワシ類はDHA/EPAなど各種脂肪酸が日常的な食用魚類では最も豊富.
養殖されておらず、脳神経損傷や催奇性を持つ
恐ろしい水銀、ダイオキシンの汚染が最も少ない魚の一つ。
カタクチイワシの大群がお団子状態(江の島水族館)
密集して塊となるのは全体像を大きく見せることで外敵を防ぐといわれています。
群泳するマイワシ(池袋サンシャイン水族館)
1. イワシ類は健康志向の最重要海産食材
「頭が良くなる青魚のオメガ3」が脳神経、視神経に優れた働きを
持つことに異論はほとんどありませんが、これは経験的(疫学的)な知識.
天然のオメガ3が脳神経に有用なメカニズムの詳細はいまだに未明。
現段階ではオメガ3の効能は魚油全体の成分と相乗しているだろうと
いうこと.
DHA/EPAだけでなく魚を丸ごと食べる、またはエパフレッシュの
ように、魚油をカプセルに封入したサプリメントの必要がある所以(ゆえん)です。
オメガ3の医薬品(EPAのみのエパデールなど)は高脂血症を主ターゲットに
「血液サラサラ」用と称されていましたが、アテローム溶解など
心筋梗塞、脳卒中などにも使われるようになりました。
ただしEPA成分のみで薬効を求めて、日常的な食生活に較べれば非常な大量投与。
歴史の浅い医薬品ですから腎臓などへの副作用は未明で長期使用はお薦めできません。
メカニズムが未明な時点ではDHA/EPAが特別に豊富で安いイワシ類が最もお薦め。
抗生物質、抗菌剤などが懸念される養殖物がありませんから養殖物を天然とは
偽装、偽称ができない数少ない魚種です。
また、イワシ類は脳神経損傷や催奇性を持つ恐ろしい水銀、ダイオキシンの汚染が
最も少ない魚の一つ。
*平成16年3月に水産庁が、平成15年までの魚介類102種類に含有するダイオキシン類の
調査結果を発表。日本近海、沿岸の魚介類からのダイオキシン類検出が、
輸入や遠洋物に較べ、30%-800%も上回ることを報告しています。
食物連鎖で大型の魚類ほど汚染度が高くなります。
魚油のオメガ3不飽和脂肪酸の欠点は時間がたつと酸化しやすいことですが、
物流が迅速化、多様化した現在は日本中で新鮮な魚が得られます。
(ノギボタニカルのエパフレッシュは天然サーモン油の丸絞りを
1,000㎎/1カプセル加えています)
2. DHA/EPAが豊富な青魚の代表はイワシ
DHA/EPAが豊富な青魚の御三家はイワシ、アジ、サバ。
その中でもイワシは世界中に生息し、その種類は300種類を越えるといわれています。
日本近海でも様々な種類が生息しているようですが、カタクチイワシ(Engraulis japonicus)、
マイワシ(Sardinops melanostictus)、ウルメイワシ(Etrumeus teres)が代表的3種で、
茨城、千葉、三重、長崎、島根を中心に年間平均60万から80万トンが水揚げされます。
このうちカタクチイワシがシラスを含めて60%以上を占めます。
3種類のイワシは科(family)が異なりますが、ニシン目(Clupeiformes)に属します。
イワシは地方により色々な俗名がありますが、シコイワシ、ヒコイワシ、セグロイワシは
カタクチイワシのことです。
青魚の魚油成分はDHA/EPAなどオメガ3脂肪酸のほか、オメガ6、オメガ9、トリグリセド、
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどで構成されます。
含有する脂肪酸の種類は細かく分けると10種類以上になります。
DHA/EPAのみを抽出したサプリメントやバイオ合成DHA/EPAが
お薦めできない所以(ゆえん)です。
健康食品は、特定抽出成分ではなくターゲット食材を全て食することです。
食卓でのイワシ類は丸ごと食しますからコンスタントに一定量のDHA/EPAを摂取できます。
マイワシは日常的な魚としては最大のDHA/EPAが摂取できる魚といえます。
生のマイワシならば100から200gの摂食で十分ですが
マグロ、カツオなど大型魚類は産地、部位によりDHA/EPAの含有量が大きく異なります。
(EPAは体内でDHAに変換するともいわれますから一般の方は分別する必要はありません.
安全面からは、自然な配合を尊重すべき)
養殖業者や漁業関連業者の商い上の都合でデータは様々な使われ方をしていますから
食べる魚の産地や部位によってDHA/EPA摂取量は常に大きく変動していると
理解したほうが良いでしょう。
3. シラスのブームがイワシ資源を枯渇させる?
イワシ稚魚の生シラス愛好者が激増し、他の漁業資源の不足が懸念されています.
シラス漁は兵庫、静岡、愛知の漁獲が多いですが、千葉や三重のシコイワシ漁を加えると、
イワシ漁全体の半分を超え、餌としている他の魚類の枯渇の原因となると予想されています.
湘南の相模湾沿岸では各漁港に1-2軒のシラス漁専門漁師がいますが
昨今のブームで地場の観光需要が急増.
供給が追いつかず、不足分は漁獲の多い静岡の駿河湾から買い付けていますが、
鮮度が落ちるため、人気の生食には適しません.
アジアの冷蔵、冷凍物流が未熟な地域では干し小魚が貴重な蛋白源.
マレーシアやタイの沿岸地域で生産された大小様々な干物はアジア大陸の奥地まで輸出されます.
ガーリックとトウガラシでオイル炒め.白ワインがお薦め.
4. マイワシ(Sardinops melanostictus)の漁獲量は年度による波が大きい(周期?)
マイワシはナナツボシと俗称される黒斑点が特徴
ニシン、鮭、サンマ、サバで豊富なEPA/DHAが摂取できる北日本と異なり
首都圏以西の地場産魚でEPA/DHAが豊富なのはイワシ類、アジ類、サバ類に限られます。
イワシ類は年間総漁獲の3分の1以上を占める重要魚種だけに
入手は簡単ですが、幅広い価格変動もあります。
近年はマアジが低調ですがマイワシ(Sardinops melanostictus)は豊漁続き。
5. 焼魚なら脂がたっぷりのマイワシがベスト
美味しい焼き魚も焦がし過ぎは禁物.写真上右が限界でしょう.
網焼き魚はDHA/EPAが2-30%は減少します.
「高温調理で発生するアクリルアミドで発がん、神経と生殖機能にも障害」
6. フランスパンにお似合いはマイワシのガーリック焼き
フランスパンと白ワインがぴったりのオーブン焼き.青魚ではマイワシと鯖(マサバ、ゴマサバ)がベスト.
ガーリック、パン粉、ハーブ、トランス脂肪酸の少ない植物性オイルをたっぷりがコツ.
200℃で約25分。上部が焦げないようにホイールを載せてさらに240℃で5分から10分くらいがお薦め.
さわやかで、くせが無い香りの米ぬか油「とらんすげん」はいかがでしょう.
写真のハーブはローズマリー.セージなどシソ類があればそれも良い選択肢.
子供が好みますが、トウガラシを抜いてガーリックを控えめにします.
特に子供は使用する食用油脂にご注意.過酸化した輸入オリーブオイルは
トランス脂肪酸同様に非健康食となり危険です.
キビナゴ(Spratelloides gracilis). 熱帯、亜熱帯に多いイワシ類(ニシン科)の魚.
ウルメイワシに近似しており、淡泊なので刺身が美味しい.
九州、高知の特産ですが、関東圏で売られることも多い.
朝獲れが得られなければ、ガーリックとトウガラシでのオイル炒めが美味しい.
7. マイワシのお刺身にはお酢と新生姜がとても似合います
獲れたてはお刺身、お寿司が美味しい。脂肪分が過剰と思う方は酢をくぐらせます.時間はお好み.
余ったら塩で締めて酢につければ翌日も美味しくいただけます(写真下段).
写真上は朝獲れマイワシのお刺身と素人寿司.写真下は塩と酢で締めたもの.締め時間はお好み.
脂肪分の強いマイワシは酢で締めた素人寿司がお薦め.
お寿司はプロとは仕上がりが異なっても意に介しません.
新生姜は右端のような細長い部分が柔らかくで美味しい.
大きく丸い親根のような部分の多い株は繊維が強くなっています.
うれしいことに6月は酢締めイワシのお刺身、お寿司にぴったりの「新生姜」が旬。
生生姜の国産品は高知県産が多いですが、薄くカットされ
袋入りなどで加工販売される安価な「ガリ」は中国産がほとんど.
お薦めは自家製。旬の新生姜の出来るだけ細く柔らかい根を選び、
薄くカットしてこぶ出汁、お砂糖、米酢などに漬けます.
面倒な方は「寿司酢」.
(ただし、ほとんどの市販すし酢は人工甘味料の果糖ブドウ糖が
含まれていますのでお薦めできません)
数日後にはピンク色が濃くなり、食べることができます.
安いお寿司屋さんなどで使用される中国産薄切り生姜をはるかに超える美味を
味わうことが出来、食が進みます。
イワシは妊娠中、産後の女性には特におすすめの魚です.
8. 安くて超美味なカタクチイワシは生食がベスト
獲れたてのカタクチイワシ(Engraulis japonicas:Japanese anchovy)が
手に入るのは沿岸部にお住いの方の特権.
獲れ過ぎの時は「タダでどうぞ」というような魚ですが、獲れたての刺身は
超美味で、イワシ類の王様.
丸干し、煮干し、オイル塩漬けの発酵アンチョビーや養殖魚用の魚粉が主たる用途ですが
重要海産資源です.
脂肪酸は異なった種類の摂取バランスが重要と言われていますが、
最適バランスについては、学者間に議論が続いており、結論は出ておりません。
不飽和脂肪酸類(オメガ)豊富で天然の自然な脂肪酸バランスを持つカタクチイワシが
注目される由縁です。
9. ウルメイワシもお刺身がベスト
丸干し(目刺)で知られるウルメイワシ(潤目鰯;Etrumeus teres)は
朝獲れならば生食がお薦め.
脂が少ないために焼き物、煮物には向きません.
10. イワシを下ろすならば頭を付けたまま3枚に
イワシなど小魚はこのように頭を切り落とさずにおろせば簡単です.
シコイワシは刃物を使わずに手でさばきます.
写真のイワシはカタボシイワシ(Sardinella lemuru:Blackear sardne)
温暖化の北上で関東圏でも珍しい魚では無くなりました。