第六十〇話:ネアックルン橋開通と消えゆくメコン・フェリー 消えゆくローカル風物は消えゆく観光資源
東京の下町に残る1950年代ごろ以前から存在する古い用品屋、日用品雑貨屋、食堂、居酒屋、旅館、銭湯、屋台など.時計が止まったような施設や古びた居酒屋、大衆食堂が海外旅行客に人気が高いと驚かれている.国際的レベルの高級ホテル.高層ビル群.流行の先端を走るデパートやモール.欧米風の高級レストラン.発展途上国、新興国からの観光客はともかく、はるばる欧米から訪日する先進諸国の観光客にとって珍しいものではない。彼らの関心は日本独自の文化に浸ること.ターゲットは江戸、明治レトロ、大正、昭和レトロと謳って新しく作られた施設ではない.その時代そのままが残されている文化や朽ちかけた本物の施設だけが真実を伝えることができる.海外の知的観光客にとって世界各地に残存する独自文化は新鮮であり、興味が尽きないが経済的発展とともに何処(いずこ)でも消えてゆく宿命.国家が成熟期に入った時に価値が再認識されても、すでに大半が消え去っている.カー・フェリーより望む大河メコン.湖(みずうみ)のように広がっている.メコン河フェリーはベトナム南部とカンボジア南部を繋ぐ動脈.「メコン・エクスプレス」と称するバスが運行されている....