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癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

大隅良典博士 老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全

2016年ノーベル生理学医学賞は大隅良典博士 パンのイーストを使い細胞のオートファジーを解明 老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全 大隅良典博士天然のブドウレスベラトロールは細胞内小器官の代謝機能を活発化させ、新陳代謝の促進により糖尿病、高血圧、脳卒中、心血管病など生活習慣病の改善、腎機能、肝臓機能低下抑制に働くことが疫学的に知られています.レスベラトロールの細胞内作用機序詳細は明らかではありませんが、アンチエージング機能は当初話題となったテロメラーゼ制御だけではありません.その根拠となっているのが1950年代に発見された細胞のオートファジー機能。2016年ノーベル生理学医学賞はオートファジー作用遺伝子を1990年代に発見した大隅良典博士に授与されました.下記はノルウェーのカロリンスカ研究所からのプレスリリースを基に解説.The Novel Assembly at Karolinska Institutetオートファジー(autophagy)の図解.図は細胞内小器官のリソゾーム(lysosome)が、形成されたオートファゴソーム(autophagosomes)と結合するまでの...
トニー羽太の日本美探求

東北旅行・秋の三ツ石山ハイキング

この記事は八甲田連峰ハイキング(下記)の後編です。登山口の駐車場、既に沢山の車が来ていた。三ツ石山登山口ゲート、車はここまで。午前8時出発。初めは舗装道の登りが45程分続く。いよいよ登山道へ。約15分ほどで、滝ノ上温泉からの道と合流する。急斜面を約40分、その後、平坦な道になる。周りの山が見えてくる、乳頭山方面。頂上方面、紅葉の色付きも見え始めた、期待できそう。水場を過ぎると広々とした三ツ石山荘前に出る。山荘前は池も有り、広々としている、右側を登る。山荘前から長い上り、約40分、背後に岩手山も見えて来た。だいぶ登って来ました、背後の岩手山もだいぶ大きく。下から見えていた紅葉です、もうすぐ頂上です。頂上直下の紅葉。背後が頂上です。三ツ石山頂上です、2時間半かかりました。頂上からの岩手山、紅葉とハイマツのコントラスト、実に綺麗です。頂上下の紅葉。頂上下は一面の紅葉が広がる。登山道の脇に咲く、リンドウの花。さらに伸びる縦走路、八幡平方面へ。三ツ石山の道標、右は大深岳(1541m)、左は三ツ石山荘へ。全行程、5時間30分の工程でした、ご苦労様でした。休暇村 網張温泉からの登山地図。
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

認知症のアポE遺伝子制御は可能か 米老化研究所のアポE4調査

長寿社会の勝ち組となるには(その12)2030年には65才の高齢者が7,000万人を超えると予想されるアメリカ合衆国。加齢により増加が予想される認知症は国の将来の暗雲となる社会問題です。アルツハイマー型認知症のβアミロイド沈着にはいろいろな原因が挙げられますが米国立老化研究所では脂質の代謝に関わるアポリポタンパク質E型遺伝子(apolipoprotein E:ApoE)の関与を強く疑っています。(アポリポタンパク質Eは省略してアポE)1. 米国立老化研究所の遺伝子調査「GeneMatch」2016年9月8日にアメリカ厚生省(NIH)の国立老化研究所(National institute of aging)より多数の国民にメールが送られました。アルツハイマー認知症予防のために(The Alzheimer’s Prevention Registry)認知症発症に関与する疑いが濃いアポリポ蛋白質遺伝子E(apolipoprotein E:ApoE)の対立遺伝子(APOE type allele:アレル)タイプを調査するためのボランティア―募集でした。名付けて「GeneMatch」アポリポ蛋白...
トニー羽太の日本美探求

東北旅行・秋の北八甲田連峰

東北旅行・秋の北八甲田連峰  2016年9月29日昨年に続き今年の秋も東北地方にやって来ました。今年は八甲田山の紅葉と岩手県、三ツ石山の紅葉、そして東北の温泉を目的に来ました。酸ヶ湯温泉に前泊し、29日に八甲田山の「下毛無岱と上毛無岱」に登りました。前日までの雨も上がり高曇りの中を登りました、残念ながら八甲田の山並みは雲の中、毛無岱の草紅葉が秋の気配を感じさせてくれました。二日目の三ツ石山は前日に休暇村に泊り、朝早く出掛けました。8時に登山口に到着、既に登山者方々の車が多く駐車していました。三ツ石山は岩手山から西に延びる尾根上に有り、登るにつれて展望が開けて来る山です。この日は快晴、山頂からは360度の展望、この時期は一面の紅葉、久しぶりに感動しました。(後編)東北旅行・秋の三ツ石山ハイキング宮城県、伊豆沼  初夏から夏にかけてハスの花が一面に咲きます。岩手県、 ラ・フランスゆららホテルの夕食青森県、 大場谷地園地(1)大場谷地園地(2)大場谷地園地の案内、説明図大場谷地園地の木道、ハイキングコース十和田湖、発荷峠十和田奥入瀬渓谷、銚子大滝今回の登山基地の酸ヶ湯温泉酸ヶ湯温泉内部の廊下...
癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

長寿社会の勝ち組となるには(その11): 認知症予防と悪化抑止に17の提案:脳と海馬がダウンサイズしては手遅れ

認知症予防のおすすめ料理は豚肉とニンニク、タマネギ炒め抗酸化性が増強された赤紫色素のニンニクとタマネギ1. 認知症と脳や海馬の縮小(Cerebral Atrophy)過去の記憶を思い出せるが、現在は記憶力が極端に低減ということがありませんか.これは単純に加齢現象で片付けられません。記憶力の減退は個人差が15年から20年はあるでしょう。記憶力を司る(つかさどる)のはタツノオトシゴを意味する海馬(Hippocampus)。虚血、酸欠に繊細に反応する器官です。脳は脳幹・大脳辺縁系・大脳皮質の3つから成り立っていますが、海馬は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい:limbic system)の内側側頭葉(medial temporal lobe)左右に対で存在。左側の役割が主として記憶や言語。海馬の形状は名前の由来であるタツノオトシゴ(写真下:右は対の干物)に似ています。 アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症(Lewy body dementia)や糖尿病、腎不全などでは脳のサイズ減少や海馬の損傷と縮小(atrophy)が顕著にみられます認知症は脳や海馬のダウンサイズがはっきり...
ジョージ大町の湘南鎌倉ライフ

イカパターンでランカーシーバス: イカ接岸でチャンス到来・湘南シーバス

毎年8月に入ると湘南サーフにイカが産卵のために大量に接岸し始め、それを捕食するシーバス(鱸:スズキ)を狙う釣りが本格的に始まる。シーバサー(*鱸の釣り人)はそれをイカパターンと呼んでいる。このイカは体長20-30センチのアカイカでヤリイカ科ケンサキイカの1種だそうで体は確かに赤い。日によってはバケツが直ぐいっぱいになるほどサーフに打ち上げられるそうだが見たことはない。食べると美味しいそうでシーバスが釣れないときは良い土産になる。ヤリイカ科のアカイカ(ケンサキイカ:Loligo edulis)*アカイカと呼ばれ首都圏のスーパーや魚屋で切り身で売られる世界最大の食用イカはソデイカ (Thysanoteuthis rhombus)です。このアカイカ とは全く異なります.早朝の神奈川県平塚新港横サーフ今年も8月に入ってイカの接岸が始まったようで釣友からは平塚新港横のサーフで夜中に(スズキを)5本釣ったとの情報もあった。今年は都合が悪い日が多くてなかなか釣りに行けなかったがやっとその機会がやってきたと、雨ではあったが8月30日に出掛けたものの残念ながら60㎝ほどのコチ1本で終わってしまう。もっと...
トランス脂肪酸のニュースと解説

覚えておきたいトランス脂肪酸の有害性と対策の常識

日本は動物性生クリームやショートニング、バターが欧米より3倍は高価.必然的に植物性食用油を使用してマーガリンやショートニングを作ります。不飽和脂肪酸の植物性食用油は脂肪酸をトランス脂肪酸に変換させなければパンの形状が維持できません.コンビニ業界の王者セブンイレブンがパン類を目玉にトランス脂肪酸追放運動を再開これからはバターなどに変わる製法の開発と選択が課題となります.セブンイレブンがトランス脂肪酸追放運動を再開セブンイレブン(以下セブン)は売上4兆円超の30%以上がファーストフード関連の外食。飲料を入れなくとも1兆数千億円の売り上げで日本一の料飲店といえるセブンがパン類を目玉にトランス脂肪酸追放運動を再開しています。セブンはかねてより自社開発製品から添加物などを排除し食の安全に取り組む姿勢が業界一。ほとんどの外食関連企業は難題のトランス脂肪酸追放を試みてはいるものの、成果が上がっていません。最大ネックはコストの増加。コスト面から採用できる代替品は安全性確保に自信が持てないからです。セブンがその現状を打破しようとする試みは高く評価すべきで、総売り上げが10兆円(外食関連は3兆円超)に迫る...
石木時代

イワタバコが告げる鎌倉石の在処(ありか)

1. 建築土木石材の耐久性と鎌倉石鎌倉市周辺には大谷石に似た「鎌倉石」と呼ばれる凝灰岩採石の歴史があります。鎌倉時代から土木石材として利用されていた鎌倉石は石材耐久性の教材として多くのことを教えてくれます。建築土木石材の石種選択に重要なのは耐久性。石材の耐久性には摩耗、衝撃、引っ張り、曲げ、熱伝導など物理的な強度から耐酸性、耐水性、退色進行、耐候性、耐熱性など様々な要素が関与しますが実際に適材適所を決める時は施工実績を検証して、石種と産地を選んでいます。石材の耐久性は測定器で計測した数値と実績が異なることが多く、施工例の経年変化を確認する作業が最も重要だからです。歴史ある鎌倉石の施工例は寺社に多くありますが、目視で探すのは容易ではありません。土木用途がほとんどで、緑に覆われているからです。また、多くが文化財の寺社に施工されており、サンプルを削り取るわけにもいきません。イワタバコ(Conandron ramondioides)宇都宮市大谷で撮影:トニー羽太さん2. 鎌倉石の在処(ありか)はイワタバコの花が教えてくれました幻の石材となってしまった鎌倉石の在処(ありか)は想像と推測が多いので...
世界の健康と食の安全ニュース

βアミロイド除去抗体アデュカヌマブ(Aducanumab)は 認知症の救世主?

世界には推定4,680万人のアルツハイマー認知症に代表される脳神経機能が冒された患者がいるそうです。認知症、パーキンソン病など神経細胞障害は未明な点が多いのが現状。脳神経細胞が死滅していく過程を探るのは難しい課題ですが、医学界の挑戦は続いています。最近10年は認知症治療新薬が新たに承認されることもありませんが2016年9月1日発行の「ネイチャー誌:Nature」に希望を持つことが出来そうな論文が発表され、関係者の注目を浴びています。スイス大学(University of Zurich)中心の研究者らが発表したものですが、主題は「Antibody reduces harmful brain amyloid plaques in Alzheimer's patients」(アルツハイマー患者の脳に沈着した毒性βアミロイドの塊が抗体で減少された)抗体とは合成された単一純粋抗体(*モノクローナル抗体)を指します。βアミロイドはアルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease)の主原因として知られたタンパク質。沈着が続くと脳細胞を死滅させることが知られています。この内容はすでに昨年...
トニー羽太の日本美探求

宇都宮市の大谷資料館に行きました

栃木県宇都宮市の大谷資料館を訪ねました.孫の夏休み自由研究のヒントがあればと、軽い気持ちで連れていきましたが想像以上の規模を持つ壮大な内部空間に圧倒されました。深さ200メートル以上で南北30キロ以上に細長く拡がる大谷石の埋蔵量は膨大採石後の広大な空間は様々なイベントのホールとなっています。コンサートから始まったようですが、結婚式も増えているようです。夏季でも温度が12℃くらい.酒類、野菜などの貯蔵庫にも使用されます.すでに品質の良い均質な石材は少なく、採石量はピーク時の4分の1.制作者の好みもありますが、石材や工芸品に使用される大谷石は色調や風合い(テキスチャー)が均質なことが要求されていました。近年採石できるのは削れたスポットが点々と散らばる石.石材業者にはミソ(隠語?)とよばれています.これはモンモリロナイト(montmorillonite)、ケイ素、アルミニウム、鉄分、石灰質などを含む粘土状鉱物.酸化で赤黒や茶色に変色しています.スポットの少ない石材は少なくなったようです。ル・コルビジェ事務所で働いた坂倉準三氏設計.まだ均質な石材採石が可能だったと思われることから、意図的にミソ...
感染症の海外ニュースと解説

デング熱脳炎感染者は世界で1億人を超える: 25万人は危険なデング出血熱

2014年8月下旬に東京都の代々木公園で蚊が媒介するデング熱に感染した3人の男女が確認されました。3人共に海外渡航歴が無いだけに関係者は警戒感を強めています。デング熱はアジア、南米の熱帯、亜熱帯で広範囲に蔓延する、蚊が媒介する動物由来感染症の脳炎。インフルエンザの症状に酷似していますが、高齢者、幼児や免疫力が低下している感染者は苦しく、重い症状となり後遺症で脳障害がおきることもあるそうです。インドネシア、インドなどからの帰国者が感染していた例は珍しくありませんが(2010年で245例)、ウィルスを保持する蚊が空港や港ではなく都心の大公園に棲息しているとは驚きです。デング、日本脳炎、ウェストナイルウィルスなど脳障害に発展するケースが恐れられるフィラビウィルス脳炎類は人により発症程度は様々。ウィルス保持蚊に刺されても全く発症しない人がたくさんいます。今週末までの情報では東京都の代々木公園で感染、発症した人は当初の3人から医療機関経由の報告に限れば10人が確認されていますが、実際にはその何倍もということが考えられます。温暖化が進む日本がいよいよ首都圏まで亜熱帯となってしまった証でしょうか。(...
トニー羽太の日本美探求

羽鳥湖高原の野の花が秋の訪れを知らせてくれました

羽鳥湖高原「レジーナの森」住まいに近い羽鳥湖高原の散策で秋の訪れを知らせるいくつもの野の花に出会いました。控えめで可憐な野の花は、大きさを競う園芸種の対局にある美。静かに迎えてくれた高原の花々を堪能しました.(写真上)ミソハギ(写真上)サギ草(写真上左)クルマユリ  (写真上右)ツリフネ草(写真上)サワギキョウ(写真上左)ゴウホネ (写真上右)ヨツバヒヨドリ(写真上)ハギ羽鳥湖高原とは:羽鳥湖高原は福島県の南、岩瀬郡天栄村(てんえいむら)に位置する標高900mの羽鳥湖周辺にひろがる高原.(文と航空写真:福島県広報)冬季は積雪が多く、スキー場となります.羽鳥湖は周囲16km、最大水深31.2m、総貯水量2700万立方メートルの人口湖。水不足に悩む矢吹ヶ原一帯のかんがい用及び発電用として、昭和31年に完成。鶴沼川をせき止め、約15年の歳月をかけて作られました。「羽鳥湖」の名前の由来は、ダムを造るにあたってダムの底に沈んだ羽鳥集落からつけられています。トップの写真は羽鳥湖高原開発の中心的存在である東京建物リゾート株式会社の「レジーナの森」.ペット犬と共泊できるのがセールス・ポイントのリゾート...
健康と食品の解説

米ぬかパワーで日清、日露戦争を勝利に導いた高木兼寛海軍軍医総監

1945年8月15日の太平洋戦争終戦日。70年後になった今も300万人以上が亡くなった戦争の傷跡は多くの遺族、関係者の記憶から消し去ることが出来ません。毎年のように8月15日前後にマスコミをにぎわせる様々な議論と太平洋戦争実録の開示。戦争の恐ろしさを体験した人も80才前後となり、実戦に参加した人は90才を超えています。正しい、公平な情報を後世に伝え、少しでも風化を遅らせる努力が再発防止に役立つでしょう。争いの最大原因ともいえる領土、資源の奪い合いはいまだに続きますが戦いの主体となるのが軍隊。科学の発達で軍隊の実態は大きく変わりつつありますが、いつの時代にも多くの国で愚かな(おろか)政官の指導者によって悪用されることが多いのが「軍隊」これからも改憲や軍備を巡っての議論が続きますが、「軍隊」の表裏を知ることは「戦争抑止」の一助となるでしょう。1. 多くの教訓をのこした明治期の陸軍脚気(かっけ)多発事件維新後の明治政府が徴兵をスムースにするための「ニンジン」は将兵がたらふく食べられる銀シャリ(白米飯).いまでは死語ですが、当時は贅沢の代名詞。この悪習は早い段階で将兵の脚気死の原因と疑われてい...
世界の健康と食の安全ニュース

脳神経を冒す水銀入り美白、アンチエージング化粧品

夏は肌が気になる季節。薄着と強い紫外線により皮膚へのダメージが最も大きいシーズンですから対策が必要ですが、ケアのつもりで逆効果になることが珍しくありません。化粧に重要なのは皮膚を傷めないクリーム、殺菌石鹸、ローションなどを使用することです。正統派化粧品での肌の手入れでは物足りず、新たな化粧品探しに苦労している人が選ぶのがブラックマーケットの化粧品。1.水銀入り違法化粧品の蔓延ここ数年の米国ではブラックマーケットと知りつつ、わき道をあえて選ぶ人が増え、深刻な健康トラブルが多発しているそうです。美白、アンチエージングを謳う水銀(mercury)入り化粧品。数年前に日本でも中国製水銀入り美白化粧品が問題となりニュースが飛び交いましたが米国食品医薬品局(FDA:the U.S. Food and Drug Administration)も2012年にその危険性を警告しています。FDAはその後も調査を続けていますが、幾多のトラブルを分析して判明したことは非常に深刻な状況が増えている実態でした。水銀(メチル水銀)は大型魚類など水産物経由での体内蓄積量が多いために、違法化粧品経由が加わると危険水準が...
ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)

国際政治学者のウィリアム フォックス氏が、第二次大戦後の世界の指導力を考える上で提起したのは「米国とソ連と言う二つの“超大国”」だとして、「敵対する二極構造」という概念でした。ソ連の崩壊を受け東西冷戦の時代が終った後は、米国が唯一の超大国として世界の警察官の責務を背負ったものの、それも約二十年を待たずして、オバマ政権の7年間半で、米国の相対的な影響力の低下が起こっており、今や世界は強力なリーダーシップを欠く乱気流状態へと突入してしまっております。もっとも、米国の指導力は“空白”ではなく、オバマ外交を表現するなら「控え目」や「躊躇」と言う言葉が適当で、率先して最初に対処するのではなく、待ちの姿勢であると表現するのが妥当でしょう。と言うのも、今般の大統領予備選における政策論争や世評から読み取れるように、米国が「内向き」に転じたことが主因であって、本質的な強さを無くした訳ではなく、これを単純化思考で一刀両断的に米国力の低下と判断するのは間違いではないでしょうか。現実の米国経済は著しい回復力を見せており、新しいソフトウエアの開発、ハイテク技術、宇宙開発技術、先進的医療、教育再興、生産力と購買力...