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癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

細胞老化と癌(その3):  癌のメカニズム解明はオステロポンチンが鍵  牛豚肉のシアル酸Neu5Gcが癌を誘発
癌のメカニズム解明はオステロポンチンが鍵  牛豚肉のシアル酸Neu5Gcが癌を誘発

1. 細胞外マトリックス機能の解明が予防医学進歩に貢献する 近年は細胞外マトリックスが癌(がん)、肥満などの慢性炎症や諸々の難治性慢性炎症性疾患のオンオフに重要な機能を持つことが解明されつつあり、研究者の主要テーマの一つ。 注目され始めてまだ20年くらい、未明部分は多々ありますが、革新的な発見も多く、非常に期待されるターゲットです。 老化細胞が自然死せずに修復、再生して育まれるフィールドとなるのも細胞外マトリックスです。 *マトリックス(matrix:基盤、母体) *細胞外マトリックス(Extracellular Matrix:ECM)  細胞群の隙間を埋めて細胞と細胞を繋いでいるタンパク質組織。 細胞外マトリックス(ECM)の探究は医薬品開発目的の研究者が大半ですが、癌治療薬に関しては、まだまだ夜明け前の段階。 コストと副作用の障壁を取り払うには時間がかかりそうで、低コストが期待されている「遺伝子編集」による治療の実現が早いかもしれません。 しかしながら細胞外マトリックスの機能研究では、医薬品不要な癌予防のヒントが山盛り。予防医学の大きな発展が期待されています。   2. マトリセル...
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細胞老化と癌(その8 ):癌の増殖、転移を防ぐには: ミトコンドリアmtDNAの抗酸化 米国の億万長者は「終わりなき生命」研究に多額投資
ミトコンドリアmtDNAの抗酸化 米国の億万長者は「終わりなき生命」研究に多額投資

がん化遺伝子を正常遺伝子に交換する技術や、抗体をがん化遺伝子と戦う抗体のターゲットへの運び込み、一旦取りだして編集や強化後に元に戻す画期的な新薬や治療法が発表されるようになりましたが、癌(がん)はパターン化されない自在な動きを見せることがあり、重篤な副作用の発生が避けられません。 さらに問題なのはこれらの治療法は手間と費用がかかるうえに、海外に高額な特許料を支払うケースがほとんど。 だれもが完全征服できる時代はいつになるか、まだまだ道は険しいでしょう。 癌の遺伝子治療は高額になりますが、何十年と続く環境や毎日の*食生活、生活習慣に気配りする予防は治療費用と生活の質を考えればパフォーマンスが良く、納得できるでしょう。 *(発がん物質を避ける食生活は割高になります) 「癌は一日にして成らず」。 がん遺伝子が活性化するまでには人体の防御システムとの永い戦いがあります。 がん遺伝子が活性化する最大の原因は加齢ですが、中高年のすべてが発症しているわけではありません。 発症率は70代でも3人に1人くらい。未然に防いでいる方々がメジャーです。 発症メカニズムを学び、何十年と続く環境や、毎日の食生活、...
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肝硬変の元凶はヘモクロマトーシス(鉄過剰症)

長寿社会の勝ち組となるには(その35): 国連傘下の世界保健機構(WHO)と実務を代行(?)する米国厚生省のCDCは「世界肝炎の日」に 肝炎撲滅のキャンペーンを世界に発信します。 CDC:Centers for Disease Control and Prevention(アメリカ疾病管理予防センター) 「鉄剤注射は肝腎を害し寿命を縮める」 Q&A : ナッシュ(NASH)、腎臓疾患、糖尿病の原因にも 1. 世界肝炎の日(World Hepatitis Day :WHD) 2019年7月28日は世界肝炎の日(World Hepatitis Day :WHD) 世界では約3億人が感染しているといわれる各種の肝炎(Hepatitis)。 世界肝炎の日はその撲滅をテーマにした国連のキャンペーンです。 スローガンは「Missing Millions」。 毎年肝炎で亡くなる世界の約100万人に因んでいます。 今年のキャンペーンでは特に非ウィルス性肝炎をとりあげています。 「On World Hepatitis Day, 28 July, we call on people from across...
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長寿社会の勝ち組となるには(その32) 白血病治療の副作用を軽減する腸内微生物叢

*MSKまたはMSKCC(Memorial Sloan Kettering Cancer Center: メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター) *BMT(bone marrow and stem cell transplants:骨髄と幹細胞の移植) (参考) 長寿社会の勝ち組となるには(その31) 腸内微生物叢(フローラ)バランスの崩壊 炎症性腸疾患(IBD)が癌の発現、進化を促進する 1. 白血病治療の副作用を軽減する腸内細菌叢 白血病治療薬「キムリア(商品名」の公的医療保険適用(22日から)を 厚生労働省が決定したことが報道されました(2019年5月15日)。 キムリアの重大な副作用(*サイトカイン・リリース・シンドロームなど)が 懸念されている時期でしたから白血病医療関係者ならずとも そのスピード感ある発表は驚きでした。 米国ではキムリアは約5,000万円を要しますが、厚生労働省の努力により日本の 公定価格(薬価)は3,349万円。 それでも破たんする瀬戸際といわれる医療財政の現状を考えると 先般の皮膚癌等の治療薬オプジーボ同様に驚くべき巨額。 高額療養費適用で低所得...
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腸内フローラ・バランスの崩壊 IBDと癌の発現、進化

NHKの人体シリーズ第1回(腎臓)で腎臓疾患の主原因が医薬品と 言い切った山中伸弥博士も第2回(腸)では、癌を誘発する腸内微生物叢(microbiome) のアンバランスが抗生物質の乱用と生菌サプリメントの過剰摂取を原因とするとは 言えませんでした。 公平な、消費者ファーストの姿勢は変わらぬと思いますが 抗生物質は人類を微生物感染症から救った功績が大きく、現在でも重篤な 感染症治療など、医療には欠かせぬ重要医薬品。 負の部分を指摘したくなかったのでしょう。 癌の発症と進化、転移に抗生物質は深く関わっています。 腸内微生物叢研究はまだまだ途上です。 先回のこのコラムで掲載した「腸内微生物叢移植」。 現段階ではこれしか確実な方法が無いことがお分かりと思います。 長寿社会の勝ち組となるには(その30) 最新免疫療法抗がん剤(PD1阻害剤)の効果を高める 腸内微生物叢移植 1.腸内微生物叢(腸内フローラ)研究が飛躍的に進展しています 様々な体の部位の炎症と遺伝子の傷害、変異経路に微生物が介在していることは 疫学的に知られていましたが、腸内微生物はあまりに多面的な動きを示すために その正体が掴み...
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長寿社会の勝ち組となるには(その30) 最新免疫療法抗がん剤(PD1阻害剤)の効果を高める 腸内微生物叢移植

1. 腸内微生物叢(gut flora)の棲み処(すみか)を移植 この(2019年)3月29日から4月3日にかけてアトランタで開催された 全米がん研究協会(AACR)年次総会のプログラムで発表された 「腸内微生物叢棲み処(すみか)の移植」が癌治療関係者や患者の間で大きな 話題となっています。 移植の発表の一つはテキサス大学MDアンダーソン癌センターの ジェニファー・ワーゴ(Jennifer Wargo)博士のグループによるものです。 「Fecal transplants could help patients on cancer immunotherapy drugs」 「腸内微生物叢棲み処(すみか)の移植がPD1阻害剤の効果を高める」 (注釈) *全米がん研究協会(AACR:the American Association for Cancer Research) *全米がん研究協会の目標: Integrative Cancer Science• Global Impact • Individualized Patient Care *腸内微生物叢の棲み処の現物試料は、原文でstoo...
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長寿社会の勝ち組となるには(その29) FDAが狭心症治療ステントの抗がん剤コーティングに疑義

抗悪性腫瘍に大きな需要がある抗がん剤タキソール(パクリタクセル)は 狭心症に使用されるステントのコーティング剤(DES)の一つとしても 広く普及しています。 タキソールは植物(西洋いちい:Taxus baccata)由来の抗がん剤ですが、 悪性腫瘍治療に大きな成果をあげている反面、様々な強い副作用があります。 ここで取り上げたのはFDAがステントのコーティングに対する 消費者と製造会社に対する公平、公正な姿勢です。 最近の難病相手の医薬品は緊急の必要に迫られますから 認可行政は見切り発車です。 市場に現れてから間もないものが多く、2-30年程度経過していれば 長いほうですから、FDAと同じく病院や医師も重篤な副作用発生に 責任をとることは出来ず、利用者の自己判断、自己責任に 任せるしか方法がありません。 1. アメリカ食品医薬品局(FDA)の書簡 2019年3月17日にアメリカ食品医薬品局(FDA)が心臓疾患専門医とその学問に 関連を持つ分野の研究者に宛てた書簡が話題となっています。 「Treatment of Peripheral Arterial Disease with Pacl...
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 ミルクチョコレートの植物性油脂と異性化糖

「健康に良いはずが、真逆に働く不健康食品」(2) 1. 緊急性を要する安全食品、食材との取り組み 食の安全性は誰もが望んでいるわけでは無いといわれます。 理由は様々でしょうが、20年~30年間発症しないなら、安全な食品として摂食することに 抵抗感が無い人々は少数派でありません。 それはそれで個人の「生き方」ですから否定はしませんが 新しい生命には「意思」がありません。 少なくとも生まれた時は長寿を達成出来るだけの健康な体を与えるのが大人の責務。 子供を親の所有物のように考えている層には馬耳東風でしょうが われわれは食の安全性議論を続けます。 2. お客様と交換する地域の安全食品情報(仮題) ノギボタニカルでは安全な加工食品を提供する地域の会社、お店の情報を 新たに作るお客様の情報提供ページを通じてお客様同士が情報を共有してもらう企画を 進めています。 まだページは完成していませんが、すでに幾つもの情報が寄せられていますので、 今週はロハスケのページを借りて輸入チョコレートの人工甘味料に関する メールをいただいたお客様の感想をご紹介します。 先週の酸化した鯖缶詰に続いて「健康に良いはずが...
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日常的な放射線被ばく 白血病、悪性腫瘍の発がん原因

人気絶頂のアイドル的スイマー池江璃花子選手が白血病発症を公表し、多くの国民が 早い回復を祈る情景が毎日のように報道されている2月ですが、日本では白血病はリンパ腫を含めれば 決して珍しい癌ではありません。 世界的には部位別ランキングの15位くらいですが、日本では 膵臓、肝臓、腎臓がんと肩を並べる数字で、日本のトップ10に入っています。 毎年2月4日は世界がんの日(World cancer day) WHOと国際がん研究所(IARC) は癌と戦う国際対がん連合(UICC) をサポートし 様々なキャンペーンを展開します。 (IARC):International Agency for Research on Cancer ) (UICC:Union for International Cancer Control ) 2019年世界がんの日キャンペーンのシンボル   1. 池江璃花子選手が白血病発症 「世界のがんの日」月間ともいえる2月に、日本の競泳界で新星と期待されていた 池江璃花子選手が白血病発症を公表(2019年2月12日)、治療を始めたことが報道され、 白血病(ルキミア:Leukae...
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性ホルモン、ステロイドを合成する テルペノイド

性ホルモン、ステロイドを合成するトリテルぺンは 植物成分のテルペノイド(terpenoid) 1.テルペン(terpens)はテレピン油(turpentines) テルペンとは、植物の精油(essential oils)、植物樹脂(oleoresins)に含有されている、 炭素鎖構造(脂肪酸に特徴的な構造)を持つ二次代謝物質。 1700年代に松の精油(樹脂成分)より最初に発見され、 テレピン油(turpentines)が通称となりました。 テレピン油は絵の具混合用の精油として油絵を描く方に知られた樹脂精油です。 同じく針葉樹の精油(樹脂成分)より抽出されるバルサム油(balsams)も同様な成分です。 天然のバルサムは古くからレンズを張り合わせる材料でした。 合成樹脂の出現で駆逐されましたが、芳醇な香りはアロマテラピーの素材としても 愛されています。 良質な針葉樹系のテレピン油は、 ストラスブール・テルペン(Strasbourg turpentine)、ベニス・テルペン(Venice turpentine)、 ボルドー・テルペン(Bordeaux turpentine)、カナダ・バルサ...
トランス脂肪酸のニュースと解説

加工肉、食用肉の亜硝酸ナトリウムはトップクラスの発がん物質

加工肉の亜硝酸ナトリウムはトップクラスの発がん物質(WHO:IARC): 加工肉、食用肉の発がん性 2015年は世界保健機構(WHO)の傘下組織である国際がん研究機関(IARC)が 1965年にがん研究と、その広報を始めて50年の区切り。 半世紀の節目記念なのでしょうか、10月中旬にIARCは 「加工肉の発がん性を確認しリスク・リストのトップグループに分類した」 と報告し、世界の食品業界、流通業界に強いインパクトをあたえています。 なぜ日本人には癌死が多い?:淡泊な食事と予防に無関心 1. 加工肉、食肉の発がん性に関する国際がん研究機関(IARC)の警告 世界保健機関(WHO)の 国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)が 指摘したのはハム、ソーセージ、ベーコン、サラミ、コーンビーフなどの加工肉と 牛肉、豚肉、羊肉の発がん性。 年間約3万5千人が死亡しているといわれます。 IARCの結論は腸関連がん(colorectal cancer: bowel cancer) 発がんの危険性を指摘した 800本以上といわれ...
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細胞老化と癌(その9): 本庶佑博士も苦慮? 加熱する富裕層ターゲットの新抗がん剤開発競争: 立ち上がったIT産業のビリオネア

富の集中が進み、超ビリオネア8人の所得が世界人口の半分を占める35億人の所得と同じ、 といわれる世紀。 残念ながら、癌(がん)を対象とする医薬品、医療開発は、富裕層目当ての抗がん新薬開発に 狂奔するベンチャーと巨大製薬会社ばかり。 癌(がん)など高度な、手間のかかる医療、医薬品は世界の資産家を数億人か、極端に言えば 超富裕層の数百万人をターゲットにすればパフォーマンスの良い結果が得られるからでしょう。 多くの先端治療研究者はこれらの高額バイオ医薬品が普及すれば世界経済が変わるほどの インパクトがあると指摘しています。 日本では今回(2018年)ノーベル賞を授与された本庶佑博士、アリソン博士らの モノクローナル抗体によるがん治療法が実用化で先行しています。 1992年から1999年に京都大学の本庶 佑博士(ほんじょ・たすく)らの 研究グル―プが*PD-1 (Programmed cell death 1)を発見したことにより、 関係者らは抗PD-1 モノクローナル抗体(Monoclonal antibodies:mAb) の開発に着手。 がん治療はモノクロナール抗体療法では困難といわれ続...
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医療新時代を開くNAD+ NMNその2 「脳神経変性疾患(パーキンソン病など)の損傷した脳細胞回復に NAD+ NMNが効果的」
「脳神経変性疾患(パーキンソン病など)の損傷した脳細胞回復に NAD+ NMNが効果的」

1. パーキンソン病治療とiPS細胞 7月末(2018年)にパーキンソン病(Parkinson's disease)で冒された脳神経細胞を iPS細胞で再生する治療法の治験開始が報道されました。 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経伝達物質(ドーパミン)を産生する 神経細胞を作り、パーキンソン病患者に移植する計画を推進しているのは 山中伸弥博士グループの高橋淳京都大教授ら。 この度世界初の治験計画にゴーサインがでたそうです。 パーキンソン病は遺伝要因と環境、食生活など外来要因が複雑に絡み合うといわれる難病。 発症、原因のパターンがいろいろあるようですから、脳神経細胞衰弱の本当の根本を発見し、 根から絶たねば全面解決はできないでしょう 根本原因究明には患者由来のiPS細胞を作り、ドーパミン産生ニューロンに分化させ、 病態の再現が理想的。 これにより薬剤の効果・毒性評価を含めて大きな進展が期待できるといわれてきました。 今回はこの困難な患者由来のiPS細胞作成ではなく、着手しやすい他人細胞でiPS細胞を作り、 治験を進めるということだそうです。 iPS細胞が再生医療に役立つには、最低でも...
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臨床内科医師のつぶやき ヨーグルトと小腸細菌異常増殖(SIBO)

乳酸菌の医学的研究はメーカー主導が多く、正しい情報を伝えていないのが 乳酸菌研究に先導的な役割を果たしている研究者達の悩みだそうです。 いまだに「胃の関門を通り抜け、生きたまま腸に届く」 「当社の飲料には乳酸菌がxxx億個」などの無意味な、それでも消費者受けをする 宣伝文句が跋扈(ばっこ)。 以下は地方都市市立病院内科部長である臨床内科医師のつぶやき 東洋医学にも通じた学識の深さと診療は多くの患者から高い評価を受けています。 1. お薦めしたい植物性乳酸菌 大塚チルド食品が展開した「野菜の戦士 」という商品に興味を持っていましたが あまり売れなかったようです。 日本人になじみ深い漬物の発酵菌の一つであるPediococcus pentosaceusを使った発酵食品で、 ベースが乳製品ではなく植物原料、野菜、果物である点が特徴。 (Lactobacillus brevisを使ったカゴメのラブレは乳製品を混ぜています) 日本人にとって乳製品のメリットをいま一つ、納得していない私としては受け入れやすく、 また、“植物性乳酸菌“という宣伝文句も目新しく、一般の方たちの乳酸菌、 そしてヨーグルト...
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細胞老化と癌(その15): 線虫が予見した長寿達成と癌制御のメカニズム: インスリン受容体と線虫の突然変異体daf-2とdaf-16

癌と長寿をテーマに連載を続けていますが、難敵の癌を征服することは 糖尿病、過剰免疫疾患を含めた様々な難病をも征服し、多くの人が願う健康長寿を 達成することに繋がります。メカニズムが共通だからです。 癌細胞の代謝による大量の活性酸素発生と好気的解糖(aerobic glycolysis)によって 生じるグルコース(ブドウ糖)は、癌細胞の栄養素として癌細胞を増殖させていきます。 このメカニズム追求が細胞内インスリンシグナル(この場合はグルコース代謝経路での情報伝達)の 下流(伝達段階の先)で制御される遺伝子転写因子といえるタンパク質(FoxO1)の発見につながり、 癌の転移、拡散、成長などの研究発展に繋がりましたが、糖尿病のメカニズム探究にも 大きく貢献しています。 1. なぜ線虫(Caenorhabditis elegans)の研究が必要か? 寿命を縮めるテロメア短縮酵素を阻害する酵素のテロメラーゼを 活性化させるサーチュイン関連物質の研究が長寿や癌の 予防に最も重要ということに異論はほとんどなくなりました。 しかしながら、サーチュインや類似物質の作動、活性化、消滅などの機序が 全て解明...