春が近づき菜の花(Brassica rapa var. nippo-oleifera )が大量に売られる季節となりました.
都会では花付が良いと売れないそうですが、多少硬くなってもポリフェノールは増えます.
出来るだけ花が多い株を選びましょう.
タイの伝統健康野菜3つの秘密:「花菜」「樹木菜」「極小野菜」
1.赤紫色素の果菜はアクセントではありません
和食の美(見た目)と美味をとことん追求し、昇華させる和の調理法は芸術的。
その伝統文化から見れば赤や紫は毒々しい。黒は汚い。
「赤紫色素の果菜」は果菜料理の主役には美の観点からは様々な欠点があります。
加熱調理すると見た目が悪くなり、味も特に優れてるわけではないかもしれません。
健康面から見直されてきたとはいえ、調理人や生産者がアクセントくらいにしか
考えないのも一理あり、外食産業では普及に力を入れにくいでしょう。
「赤紫色素の果菜」は他の食材では代えがたい優れた栄養面の特性を持っています。
せめて家庭料理で多用し健康増進に役立ててほしいと思います。
高血糖の方が敬遠することがあるそうですが、
炭水化物や清涼飲料の糖分量と比較すべきでしょう。
2.冬から春の野菜はアブラナ属が主役
野菜が少ない冬から春はアブラナ属の独壇場.
アブラナ属の菜の花、からし菜、キャベツ、白菜は美容と健康の貴重な栄養源.
ただし、多くの生産地ではハウス栽培が主となりますから栽培法により栄養成分は異なり、様々.
誰にも見分けられ、解りやすいのは葉菜も根菜も色素のポリフェノールです.
ポリフェノールは天然植物から摂取するのが一番.
色は貴重なアントシアニンが豊富な赤紫系を選びましょう.
牛肉は長寿に欠かせません.食べ過ぎは有害ですがそれは肉食民族の話.
一般的な日本人は肉のタンパク質(アミノ酸類)が欧米の5分の1.不足しています.
重要なのは肉とともに天然アントシアニンをできるだけたくさん摂取すること.
牛肉の後ろの野菜はアブラナ属菜の花類の
紅菜苔(コウサイタイ:Brassica chinensis var f. honsaitai)
英名:Purple-stem mustard
紅菜苔はコストパフォーマンスの良いお薦め野菜.
紅菜苔(コウサイタイ)は常時出荷されるわけではありませんが最盛期は庶民的な野菜.
オータムポエムとともに菜の花より安価で売られます.
(写真上左)オータムポエム (Brassica rapa)
(写真上右)サイシン(菜芯:Brassica rapa. L. group caisin)(写真はタイ産パクファラン)
オータムポエム は種苗会社が開発した紅菜苔(コウサイタイ)と菜芯(サイシン)の交配種.
どちらかというと花菜より茎がアスパラのように美味しいというのがセールスポイント.
菜の花より安く売られます.コストパフォーマンスの良いお薦め野菜.
上の写真左がオータムポエム.写真右の手前が紅菜苔(コウサイタイ)奥がオータムポエム
3.安価な赤紫色の葉野菜は?
(写真上と下左)リーフレタス:Lactuca sativa var. crispa
赤系は俗称サニーレタス、レッドレタス、アカチリメンチシャ.
最近はアブラナ科、アカザ科のヨーロッパ野菜が流行.
アブラナ属のリーフレタスでは色の濃いブルーニャ、オークレタスや
オランダ・ブランドのサラノバなど赤紫のレタスが増えてきました。
(写真上右)黒キャベツ(カーボロネロ:cavolo nero:Brassica oleracea var. capitata)
アブラナ科アブラナ属 .生産量が少ないためにやや高価.お薦めはいたしません.
(写真上と下左)セイヨウカラシナ(タカナ:高菜:Brassica juncea var. integrifolia)
アブラナ科( Brassicaceae :Crucifera) アブラナ属
欧米ではindian mustard、brown mustardと呼ばれマスタード(Mustard)と同類.
この写真は生産者が「紫リアスからし菜」と俗称している.葉が赤紫、茎が緑.葉が緑、茎が赤紫.
2種類をミックスしてサラダ菜として販売していますが、紫だけでは売れないからでしょう.
コストパフォーマンスの良いお薦め野菜.
京菜、水菜(Brassica rapa var. laciniifolia)も同類.
(写真上右)茎が赤紫の紫大根スプラウト
(写真上)ツルムラサキ属(Basella)ツルムラサキ(Basella alba)は濃い紫色が特徴的.
アジアでは非常にポピュラーな庶民の葉野菜.
糖尿病予備軍の愛用植物として知られる.コストパフォーマンスの良いお薦め野菜.
冬季に出回るハウス物は少ないが高血糖症に有効なため、探して食する人が多い.
一般的には緑色が主.シーズンピークには各地で茎が赤紫色のタイプが出てきます.
写真上は左右ともに日本産のツルムラサキ.価格は茎色に関係なく同じくらい.
味が好まれるのは柔らかい緑色ですが、健康のために紫を愛用しましょう.
下の写真はタイ北部で露地栽培されるツルムラサキ.タイでは最もポピュラーな
野菜の一つ.
4.ベビーリーフミックスでは赤紫が単なるアクセント?
小さな葉の野菜(ベビーリーフ)がミックスされたインスタントサラダが若い主婦に人気.
ミックス野菜の相当部分がイタリア料理で使われている種なのが主な理由でしょう.
イタリア系料理のシェフに頼まれて特別栽培する生産者が始まりですが、
次第に都会の市場に現れるようになりました.
残念なのは濃色種が好まれず赤紫野菜が食される量はアクセント程度.
健康には寄与していません.
ベビーリーフはいまだにマイナーなことには変わりありませんが、
先進国オランダ流の工業化栽培野菜が増えているようです.
工業化の欠点は栄養成分、安全性が議論されずに、歩留りなど採算性のみが
重視されることです.
外見は露地栽培と大きくは変わりませんが、水耕栽培なども多いようですから、
安易に飛びつくことはお薦めできません。
同じ赤紫系でも土壌や肥料により様々な発色をします.
自然生産の中から濃い色付きをする産地を探すのも楽しみでしょう.
アブラナ属の小松菜(Brassica rapa var. perviridis)
写真上は「紫祭り」と命名されたベビーリーフ の小松菜.
(写真上)ベビーリーフミックスが手軽に出来る自家栽培用の寄せ植え.
生産者の命名はメルカート・ロッソ(赤の市場)
イタリア風にインサラータ・ミスタなどとも呼んで若い人を誘惑しています.
ルッコラ、リーフレタス類と並んでイタリア系の赤系葉野菜ロロロッサ(Loro Rossa)が人気.
(写真上)セイヨウフダンソウ:(スイスチャード:Beta vulgaris var. cicla)の苗
アカザ科:不断草、沖縄の「ンスナバー」など地方により俗称があり 葉の軸色は黄色、
オレンジなど様々.
シリーズ第一回で紹介した根菜のビーツ(ビート)と同類ですが、こちらは葉野菜.
イタリア南部料理で使用されている.バルバビエトラ(ビーツ)
葉に赤みがかったビエトラ・ロッソもあります。
マレーシアの市場で売られていたセイヨウフダンソウ(?)
(参考)キャベツ類、玉ねぎ類の*硫黄化合物には抗菌作用があります。
また美容と肥満防止の栄養成分にはコラーゲンの重要成分である
非タンパク質性アミノ酸プロリン(L-Proline)やアルギニン、ギャバが含まれます。
体内で二硫化ジメチル(dimethyl disulfide)は食品の異臭として知られています.
*S-メチルシステインスルフォキシド (S-methylcysteine sulfoxide)
生鮮食材研究家:しらす・さぶろう