若者に蔓延する脱法ドラッグ、危険ドラッグ吸飲による犯罪急増で
植物アルカロイドの功罪が話題となっていますが、今度はナス科
タバコ(Nicotiana tabacum)のニコチン・アルカロイドが善玉として脚光を浴びています。
ニコチンといえば習慣性があり中毒を連想する悪玉アルカロイドの代表ですが
西アフリカでブレイクしているエボラ出血熱(Ebola virus)の抗体療法に
試験使用され大きな成果を収めたようです。
血清を使用したのはエボラに現地感染。急遽帰国後にアトランタで
治療中の米国人男女の医者と助手。
エボラ出血熱は1976年に発見されてからの35年間で確認されている死者が
1,600人くらい。感染症としてはごくマイナーでした。
それが、今回のエボラ出血熱ブレイクは1年足らずの短期間で感染者1,800人弱。
死者はすでに1,000人を超え、致死率が6割強。
(*2014年9月末は感染者が7,000人を超え、死亡者は4,000人弱.
毎月ごとに倍増していますから6か月以内に100万人を超えると予想されています)
これまでは接触感染、飛沫感染が主のようで、感染地域も
アフリカに限定されていますが
現場で活動していた米国人の医者らとスペイン人の神父が感染、発病したことで、
関係者は変異したウィルスの強い感染力に警戒心を強めています。
エボラ・ウィルス(CDC)
フィロウイルス科(Filoviridae)
3人の欧米人に試験的に投与されたのはサンディエゴ(カリフォルニア)の
ベンチャー企業マップ社(Mapp Biopharmaceutical,Inc).およびリーフバイオ社(LeafBio)が
開発中のジーマップ(ZMapp)。
2003年に設立したばかりのマップ社を率いるのは
ジョーンズ・ホプキンス大学卒のラリー・ツアイリン博士(Larry Zeitlin, PhD)。
エイズなど特殊な感染症治療薬開発に定評があり、ジーマップ(ZMapp)開発に中心的な
役割をはたしています。
今回はいまだ特効薬の無いエボラの致死率の高さを恐れた感染者らが
安全性を無視して開発途上の未承認医薬品使用に踏み切ったものです。
霊長類のテストを済ませヒト安全性確認の治験に入る段階でした。
これまでの霊長類実験では感染後1日以内なら100パーセント、数日以内で50%の
治療効果があるそうです。(*投与が遅れたスペイン人神父はその後死亡との報道)
抗体療法に使用されたのはマップ社のMB–‐003と、コラボレーションしている
デフィルス社(Defyrus Inc.:トロント)のZMAb。
この二つをベースに3種類の植物成分をカクテルして作られたモノクローナル抗体。
ニコチンの原型はオーストラリア産のタバコ品種からといわれ、モンサント系の
遺伝子組み換え技術で栽培するとしています。
使用機会の少ないコスト高のオーファンドラッグでもあり、
現段階では量産体制にありませんが、ケンタッキー州の関係工場で
生産すれば、2か月後くらいには必要量供給を開始できるといわれています。