アストラゼネガ社のSARS-CoV-2ワクチン治験中断
ワクチンの国際分配に悪影響
トランプ大統領と安倍前首相の役割
1. アストラゼネガ社AZD1222ワクチンの治験を中断
新コロナのワクチン開発で先行し、世界が*注目する英国のアストラゼネガ社(以下AZ).
各地で実施しているSARS-CoV-2用ワクチン(コードネームがAZD1222)の
治験を中断したことが9月8日に米国の医療メディア(STAT)で報道され
関係者の不安を招いています。
*アストラゼネガ(Astra Zeneca:AZ)
同じころ、欧米の主要製薬会社9社が「ワクチンは安全を最優先」と共同声明。
当たり前中の当たり前、なぜ今?と驚かれた人も多かったと思います。
外出自粛などで経済が大打撃を受けている各国が、納期促進圧力を
一段とエスカレートさせているからでしょうが、開発を急ぐ有力企業には
AZ社と同様の製造法を持つ会社が複数以上あり、事故は他人ごとではありません。
2. 新コロナウィルス蔓延(まんえん)中にAZD1222治験中断のなぜ
AZD1222は、アデノウイルスに感染させたチンパンジーから感染ウィルス(ChAdOx1)を
単離し、弱毒化させてベクター(運び屋:キャリアーとも)に仕立て上げ
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク(S)蛋白質遺伝子を体内に運ぶ
組換えウイルス・ベクター・ワクチン(ウィルスを病原の運び屋としたワクチン)。
接種後に(ベクターによって運ばれて)体内でスパイク蛋白質遺伝子が発現し、
病原に対抗する有効な獲得免疫(中和抗体)や細胞性免疫など、
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への有用な免疫が誘導されます。
AZD1222は開発当初は「*ChAdOx1 nCov-19」と呼ばれていました。
*COVID-19は今回パンデミックとなっているコロナウィルス感染症のネーミング。
正体不明のころに新ウィルスがnCov-19(2019年出現の新しいコロナウィルスの意)と
仮称されていたことから感染症名となりました。
SARS-CoV-2は流行ウィルスの特定遺伝子が同定された後に
仮称のnCov-19から正式名となった新ウィルスのネーミング。
問題は遺伝子治療の運び屋(アデノウイルスベクター)の安全性.
弱毒化や、不活性化させた病原を直接注入して抗体を作らせる手法は
結核菌、ポリオ、インフルエンザなどのワクチンで永い実績はありますが、
遺伝子組み換えやウィルスの運び屋(ベクター. キャリアー)を使うのは
近年の新しい手法。
量産が可能で、ピンポイントでターゲット細胞に運べるため、広い応用範囲が特徴です。
これまで、がん(癌)や遺伝性の先天的重要酵素欠乏症などの難病治療薬には
実績がありますが、ワクチンには実績がありません。
運び屋(ベクター)は当初の大腸菌からレトロウィルス、レンチウイルス、
アデノウィルスなど、ウィルスを使用するのが主流となっています。
ところが、20年前に肝臓の難病治療に実施した患者が死亡する事件が米国で発生し、運び屋の
アデノウィルス投与量が過大であったのが原因と断定されたため、同様ながん治療も
食品医薬品局FDAがストップをかけました。
その頃よりウィルス・ベクターの安全性議論が高まり、主流とはいえ、慎重さが求められています。
今回のAZ社の治験中断の原因は公表されていませんが、長引くことが予想され、アデノウィルスの
危険性もさることながら、抗体生成に問題が起きているのではないか、
また*ADEではないかとも推測されてもいます。
ワクチン開発は長い治験が必要ですが、その間にウィルスが変異して効果の範囲が
狭くなることがあります。
最近ではCOVID-19が長期間拡大していることもあり、変異によって
ワクチン接種がマイナス効果となる自己免疫異常の*ADEが懸念されていました。
すでに、新コロナウィルスSARS-CoV-2ワクチンの治験で実際に誘導された
中和抗体(ワクチンにより獲得した有益な抗体)がウィルスの
スパイクたんぱく質に変異(高次構造変化)が生じている第2波に
襲われた時、中国ではADEを発症したそうです。
*ADE: Antibody-Dependent Enhancement(抗体依存性感染増強)
AZD1222の治験には様々なハードルが待ち構えていることが十分考えられますが
COVID-19ワクチンには「急がば回れ」と言えない緊急性が必要となっています。
3. トランプ大統領と安倍元首相が確保したAZD1222ワクチン
最初にアストラゼネガ社に関心を強く示した世界の元首はトランプ大統領。
トランプ大統領は早くから最新ワクチンの確保にすぐれた先見性を発揮し、
トランプ陣営が世界に先駆けて数多くの手を打っています。
経済人としての嗅覚(きゅう覚)なのでしょう。
SARS-CoV-2ワクチン開発に*新たなワクチン製造法の必要性を
感じたトランプ大統領は2020年3月2日、ホワイトハウスに業界の有力者を招待して
COVID-19ワクチン会議を開催しています。
ホワイトハウスの会議では、*合成メッセンジャーリポ核酸ワクチンの製品供給が
早ければ半年後に可能なことは判りましたが、実績がないために、説得力のある安全性が
短期間では確保できないことも判明しました。
*合成メッセンジャーリポ核酸ワクチン:次回に解説しますが
人造メッセンジャーリポ核酸:synthetic messenger RNAを使ったワクチン。
次世代ワクチンと期待されています。
その後のトランプ大統領の動きは、報道されているように、
素早いものでした。
直ちに安全性と効能に実績のある従来タイプのワクチン製造法に近い開発を続ける
アストラゼネガ社と交渉をはじめました。
すでに実績のある従来法に近い製造メカニズムを応用して頭一つ抜いている
(と思われている)のがオクスフォード大学とAZがコラボして開発した
AZD1222だったからです。
アストラゼネガ社(AZ)には、AZが買収したアメリカのワクチン開発製造企業の
歴史が積み重なっており、製造法確立や安全性確保からも市場に出るのが、
もっとも早いとトランプ大統領は判断したでしょう。
AZには莫大な投資を約束し、見返りにアメリカ国民が必要とする量の確保に動きました。
追従した(親友の)安倍首相も直ちに全国民分約2,500憶円の購入を決定しています。
ただし、ターゲットとなっている新ワクチンはオクスフォード大学と
コラボしている新しいコンセプトの部分があり、数千万人規模の
安全性を確保するには、これまでの生ウィルスを使用しているワクチンとは
異なった安全性の確認が必要でした。
4. 世界の新ワクチン予約がアストラゼネガ社に集中
有力製薬会社やその傘下のベンチャーが目指す次世代ワクチン、治療薬の開発技術は
人造メッセンジャーリポ核酸:synthetic messenger RNA使用が主たる潮流。
その開発途上にパンデミックが起きたために、自己開発が困難な国々は
安全性確認が(他に比べれば)早期に期待できるワクチンを模索していましたから
AZ社に深入りしているトランプ大統領や日本の情報が瞬く間に世界を駆け巡り
多くの国々が確保に殺到。
その期待の星AZ社が突然の治験中断. ありうることですが、時が時だけに
発注していた国はあわてています。
5. AZD1222の予定供給数と製造者責任
早期実現性が高い(といわれた)アストラゼネガ社の開発する
SARS-CoV-2用ワクチンは
米国、日本をはじめ途上国など多くの国々が購入予約。
先見が可能な情報量を持つトランプ米国が約束したAZ社への
投資額は*米生物医学先端研究開発局経由の約1,200億円。
(*Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)
英国政府の89億円に比べれば図抜けた巨額です。
主たるワクチン購入予約は英国へ1億回分、米国へ3億回分、*中国へ計3億回分など。
日本政府とは、2020年8月7日、基本合意書を締結したようですが、
約2,500億円ともいわれる1億2000万回分。
AZ社は企画されているライセンス生産、下請け生産を参入すれば
計30億回分を生産できると豪語していますが、
「来年までの治験で良い結果がでたら」が前提条件。
また「短期間での緊急納入ゆえに使用後の事故責任は購入国が負う」
という手前勝手な但し書き付き契約。
6. なぜ中国がAZD1222を大量購入?
中国への3億回分には理解しがたい部分があります。
中国は武漢ウィルスの発生以来豊富な新ウィルス情報を基に
様々な製造法でワクチンを試作、治験しているといわれます。
AZ社からワクチンを大量に購入する理由があるとすれば開発の行き詰まり?
くらいしか考えられません。
世界の医薬品の委託製造工場といわれるくらい、カプセルやタブレットの
製造実績もありますから、トラブルは、やはり安全性に問題があったのでしょう。
中国のワクチン開発研究者が、変幻自在と表現できる新コロナウィルスと
格闘を続けているうちに、次々に問題が生じているだろうことが、
漏れ聞こえるようになったのは7月ごろから。
治験を中断した新ウィルス・ワクチンが多いともいわれています。
7. 楽観的だった新コロナウィルス・ワクチンの完成
中国、ロシアを含めた治験中断の一連の動きは、かなり深刻な背景があると
見なければなりません。
当初、ワクチン開発競争が始まったころに、開発会社首脳からは
信じられないような、楽観的というか、安易な納期が示されており、
トランプ大統領や安倍前首相もそれを自国民に受け売りしていました。
当時から「ワクチンは治療薬と異なり、健康な人に接種する予防医療。
時間をかけて細心の配慮で安全性の確保をしなければならない」と
心ある専門家たちが反論したものの、聞く耳を持たない企業と政治の猛進。
感染症担当組織の存在を無視し、認可基準の大幅緩和、
治験数を増やすために発展途上国に大量の試作品を無償供与するなど
トップダウンの乱発が続きました。
ウィルスの全遺伝子が解析できていれば、合成メッセンジャーリポ核酸mRNAによる
ワクチン製造は(従来法に比べれば)確かに、それほど時間がかからないでしょう。
しかし実績がない新たな製造法ですから、安全性が確保できるまでの時間は
2年か、5年か、それ以上か想像もできません。
8. 難病治療とワクチン接種のコストと安全性
「ワクチンはコスト安でなければならない」
先天性遺伝子異常の難病などは患者数が少なく、遺伝子治療では
数千万、数億という高価な治療がほとんどですが
対してワクチンは健常人に用いるために、億単位の膨大な需要があり
コストを最大限に減ずることが必須です。
「ワクチンは安全性が最優先であり、絶対条件」
難病治療は安全性の議論より優先されるのが救命。
対してワクチンは健常人に接種しますから、高率な安全性が最優先。
接種により何らかの発症があれば本末転倒。議論の余地がありません。
このように世界から期待されている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の
ワクチン開発が難題を抱えている現状で、日本はどう対応すべきか
議論を重ねる必要に迫られています。
治験のトラブルが続き、予定されたワクチン供給量に異変が生じることが必至でしょう。
先進国ともなれば、配分には70億人を超える世界人口を対象とした思考が必要ですが
中国、ソ連、米国などワクチン開発能力を持つ国は組合に参加せず
国際的なまとまりもありません。
組合(COVAXファシリティー)も役所的な思考のスタッフが多く、大国は信用していません。
配分や資金調達、使途を巡り問題が山積です。
トランプ米国と協調というより、傘下で自国の必要量確保に動いていた日本の立場は
微妙であり、むつかしい判断を迫られます。
組合には否応なく参加していますが次回は今後の問題点を洗い出していきます。
ワクチン開発頓挫に救世主: 一酸化窒素NOの抗ウィルス特性を確認したウプサラ大学
レスベはフランス産の天然赤ブドウを原料に日本で初めて作られた
ブドウ・レスベラトロール・サプリメント.
最初のモデルの開発を始めてからすでに20年を超えました。
レスべのブドウ・レスベラトロールはイタドリ由来のものや、医薬品目的に
化学合成された合成レスベラトロールとは全く異なる物質。
天然レスベは過剰摂取が不要ですから長期間摂取の安全性や慢性炎症を抑制する効能は
ブドウを食するのと同じです
ニューモデルは天然の赤ブドウが持つトランス型ブドウポリフェノールのスチルベノイドと
プテロスチルベン、ケルセチン、CoQ10、
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