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糖尿病のニュースと解説食在亜細亜:アジアの生鮮食材

ベトナム民族スタミナの源泉は鍋食(ラウ)文化: 庶民に愛されるドジョウ鍋

 

 

1.ラウ(L?u)とカインチュア(Canh chua)

ベトナム料理といえばライスペーパー料理とラウ(Lau)と呼ばれる各種の鍋料理。
ベトナムは近隣諸国に較べれば美味な料理が沢山ありますが、中国、フランスの
影響が強く、独自性にやや欠けています。
すでに料理に国境はなく、生春巻き、揚げ春巻き、ベトナム風スープの鍋料理も、
多くの国で普及しています。都会では、これがベトナム料理、タイ料理、
これが四川料理、広東料理と区別するのもナンセンスですが、少なくともアセアン諸国で
特徴的なのがベトナム(特に南部)の鍋料理ラウ(Lau) 。
タイのゲーンの奥深さには及びませんが、ラウ(L?u) の中でもカイン・チュア(Canh chua)
呼ばれ、南部で親しまれている魚介用酸味スープは優れものの健康食品。
細胞の代謝機能活性化に必須なビタミンB群、ビタミンE,D、カルシウムなどミネラル類が
豊富なスープと具材。
ポリフェノール、アルカロイド類が豊富な付け合せ野菜。
これこそベトナム人がフランス、アメリカなど欧米人や連合軍との30年間もの地上戦に耐えた
スタミナとバイタリティーの源と考えています。

 

2. ホーチミンシの大衆カイン・チュア専門店

南ベトナムは気温の高い地域が多いせいか、涼をとる熱い鍋料理のラウ(Lau)が盛ん。
大衆レベルの食堂からレベルの高いレストランのメニューにまでラウがみられます。
写真上の店(ホーチミン市3区)のメニューにはドジョウ、ナマズ、ウナギ、雷魚、ハゼナマズ、
タプティムなど淡水魚があり、すべて同じ値段.
タイ式海鮮鍋(通称タイスキ)だけは4割アップ.
メニューは豊富でも来店客の大半が食べているのは活きドジョウ鍋.連日満員のドジョウ屋さん状態です。
ラウはあっても活きドジョウは高級レストランにほとんどないメニュー。

 

3.大人気の活きどじょう鍋(Lau cá kèo)とは

1~2人前110,000ドンから115,000ドン(約550円).
2~3人前175,000ドン(約850円)。スープ、野菜、米麺が付いています。
ほとんどのグループがドジョウや米麺(bún)、野菜(rau) 、スープをおかわりしています。
米麺(bún)、普通野菜は10,000ドン(約45円)。
ミズオジギソウ(rau nhút) のおかわりは15,000ドン(約68円)。
レートはドルが95円を超えた2013年3月中旬.

活きどじょう鍋(Lau cá kèo)が売りのこの店はごく大衆的なお店ですが、ドジョウから揚げなど
1~2品サイドオーダーして、野菜、麺やスープのお代わりをすればドジョウのお代わりやビールを別にしても
一人1,000円から1,200円くらい。4-5人のグループの平均単価は1,500円くらいでしょうか。
庶民の食事予算は平均的に300円くらいですから庶民とはいっても中から上のクラスしか利用できません。
必要に応じて道路を店舗スペースにするのはベトナム流。
ギターの流しが演奏をしています(写真上下段左)
トップの写真はサイドオーダーの煮野菜をたっぷり入れた特注の甘酸っぱいカインチュア(canh chua)仕立て。これでドジョウを食します.
酸味はお店によりますが基本的にはタマリンドを使用することが多いようです。
酸味はトマト、レモングラスからも得られます。
この店の人気はスープが勝負点ですから聞くのもヤボ。詳細は分かりません。

写真上左はトップの写真と同じ.特別オーダーで煮野菜を豊富に仕立てたドジョウ用のスープ.
右はこの店のレギュラーなドジョウ用のカイン・チュア(Canh chua)スープ.
白ニラ、レモングラス、紫蘇草の刻みや茎も.

ドジョウ(泥鰌:どぜう):Misgurnus anguillicaudatus(weather loach)

ドジョウから揚げ:Cá Kèo và Nh?ng Món Ngon(ホーチミン)

     

ドジョウやナマズが苦手な人にはタイ式ラウ(Lau Thai)のセット 。スープはドジョウと同じ.
野菜はバナナ花弁とミズオジギソウ(Rau nhút).
ブラックタイガー、イカ、ハマグリなどタイ式海鮮鍋ですが、スープはカインチュア(canh chua).
牛肉入りもベトナムらしい.(ホーチミン)

(写真上)ナマズぶつ切りのカイン・チュア(Canh chua)風スープ.(プノンペン:カンボジア)
ベトナムでは カインチュア・ボン・ラウ(canh chua bong lau)
プノンペンの食文化は南ベトナムとほとんど変わらない.ナマズの下は米麺.

 

4.日本のドジョウ料理:「柳川鍋」「どじょう鍋」「活き稚魚のから揚げ」

泥鰌(ドジョウ)料理は中国南部で一般的ですが、日本人にも永年のなじみがあります。
伝統的な「柳川鍋」は扱うお店は少なくなりましたが、卵とじの調理法。
浅草で有名なのが「駒形どぜう」の「どじょう鍋」。何軒か同様な店があり、浅草名物の一つ。
牛蒡(ごぼう)や白髪ねぎとともにタレに付け込んだ丸のままのドジョウを
小さな炭火コンロで煮て食べるスタイル。他の都市でも供する店があります。
また「活きどじょう稚魚のから揚げ」を居酒屋で食したことのある人も多いはず。
白身のタンパク質はあっさりしてくせがない。
日本もベトナムも都会で供される素材はほとんどが養殖。
寄生虫や微生物の心配が少ないので抗菌剤のことを別にすれば安全。
日本では輸入がほとんどですが、数少ない業者が小規模な養殖をしています。

ベトナムの野菜、果物のバリエーションはタイにはおそらく負けます。
ただし食事時の野菜の豊富さと量はタイに劣りません。
知る限りではタイと並んでおそらく世界有数。
ラウに付属する野菜は栄養満点。タイに較べればラウにはバジル類がやや少ないですが
ライスペーパーを主食にする場合はバジルもたくさんあります。

 

5.ラウlau)の代表的な野菜(rau)ウォーター・スピナッチ(ヨウサイ:空芯菜:Ipomea aquatica)

 

ウォーター・スピナッチ(Water spinach :Ipomea aquatica)の笹掛け(split)
市場ではこの状態でも売られています.

ウォーター・スピナッチ(Water spinach :Ipomea aquatica).
朝顔に似た花を咲かせますのでモーニング・グローリーとも.朝顔菜と呼ぶ日本人もいるそうです.
若いシュートを活かして茎を食するか、笹掛けできるよう茎を太くした栽培があります.
育て方、収穫時期で様々な形状となります。
和名はヨウサイ.一部では俗称で空芯菜。
陸生も多くなりましたが、本来は田んぼや沼などで育ち、水を上げるために茎が空洞.
それが由来で空芯菜と誰かが名づけたといわれます。

 

6.ラウ(lau)の代表的な野菜(rau)シソクサ(紫蘇草:Limnophila chinensis

(写真上)緑色野菜はシソクサ(紫蘇草:Limnophila chinensis var. aromatica)rice paddy herb
ベトナム:Rau Om

右も左もシュートの先の若芽を食する仕立て.英名は田んぼのハーブ.
クミン系の匂いが強いので一般的には使用されずカインチュア独特のハーブともいえる.
太いグリーンの野菜茎はチャイニーズ・セロリ(キンサイ:Apium graveolens var. secalinum)

写真手前チャイニーズ・セロリ(キンサイ:Apium graveolens var. secalinum)

たんぱく質や野菜は熱して食するのが衛生的には一番。
それも中国料理で微生物を殺すといわれる「爆炒」調理にくらべ、スープ調理は健康的
(野菜や魚介の抗菌剤汚染は別の話ですが)。
「爆炒」調理は使い古しの油が使用されることが多く、過酸化脂質、トランス脂肪酸の害は計り知れません。

 

7.ラウ(lau)の代表的な野菜(rau):バナナの花弁(苞葉)(Musa acuminata:?p Chu?i )

 

バナナ(Musa acuminata:Musa Balbisiana)左がバナナ花弁(苞葉)の笹掛け(split).
上には緑豆のモヤシ.右はウォーター・スピナッチの笹掛け.

写真上はバナナの蕾(苞葉)

     

農畜水産物の統計は当てにならない推計がほとんどですが、バナナはやや正確な部類。
バナナは1億トンを超える世界最大級の果実です。
料理用バナナは果物バナナの3分の1.未熟な青いバナナが中心(上段の写真)
3,600万トン弱を占めるかなりの数字が推計されています。
インドが35%は占める最大生産国でアジアと中米が主生産地。
主として流通しているのは数種類で過半を占めるのがキャベンディッシュ種。

バナナ茎の芯材:肥満、糖尿病、高血圧、胆石に良いといわれます。
ラウにも使用します.

 

8.ラウ(lau)の代表的な野菜(rau):ミズオジギソウ(Neptunia oleracea)

 

上段と下段左の写真はミズオジギソウ(Neptunia oleracea)(water mimosa : sensitive neptunia)
ベトナムではラウに常用しますが、他の野菜に較べ高価。ベトナムの呼び名は Rau nhút
タイではファック・ルノン(Phak runon).アジアでは強肝作用、潰瘍細胞治療が著名.
下段右はホーチミン市の大衆市場で売られるミズオジギソウ、ウォータースピナッチ、
バジルなど3種を混合した即席鍋用野菜。

 

9.ラウ(lau)の代表的な野菜(rau):ハナニラ (Allium tuberosum)

 

(写真上と下)ハナニラ (Allium tuberosum):Oriental garlic:Chinese chives.
日本で通常使用される品種は葉を使用するタイプ.これは茎と蕾を食する花ニラの種類.

(写真上)繊維質が生じないよう太陽光を遮断して育てたハナニラの茎と蕾.花茎の長さは様々.
中華料理の流れでしょうが、ベトナム南部、カンボジアでは高級野菜となってラウにも使用します.

(生鮮食材研究家:しらす・さぶろう)

 

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