長寿社会の勝ち組となるには(その19): 合成アミノ酸過剰摂取の危険性: 高血圧、心臓病、感染症悪化、インスリン代謝阻害
日本人には牛肉が長寿の食材.90才を超える日本人の好物は一様に牛肉といわれます.
牛肉は良質な天然アミノ酸の宝庫ですが、米国人のような過剰摂取は有害ともなります.
長期的な健康生活を害する食生活の近代三悪には
アミノ酸バランス、脂肪酸バランス、ホルモンバランスの崩壊が挙げられます。
「天然魚油のDHA/EPA(オメガ3)とは:脂肪酸代謝物エイコサノイドとプロスタノイド」
第6項に「飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランス(脂肪酸バランス)」が解説されています.
1. イチロー選手が筋肉トレーニングを廃止した理由
アメリカのメジャーベースボールで永年活躍を続けるイチロー選手。
2016年のシーズン後半からは一部筋肉を増強するトレーニングをやめたそうです。
一部を増強することで全体のバランスが崩れるために期待されたパワーを得るどころか
悪影響が目立ってきたからとのこと。
これはアミノ酸もバランスが重要なことに通じます。
イチロー選手は合成アミノ酸サプリメントの有害性が警告されたころに中止しているようですが
合成アミノ酸サプリメントはアスリートが筋肉に十分なグリコーゲンを蓄えるための
糖質合成(incorporate enough carbohydrates )を困難にします。
肉類が大好きなイチロー選手は筋力に必要なアミノ酸量は食事で十分摂取しています。
もともとアメリカのアスリートに合成アミノ酸の補給をする人は少なく、ダルビッシュ、
田中マー君などパワー不足の日本人や韓国人選手が危険を指摘されながらも愛用していると
いわれます。
これはプロ選手としての必要悪と捉えるべきでしょう。
肉食人種のアメリカ選手の食生活はアミノ酸の摂りすぎくらい。
筋肉増強には禁じられているステロイド系の特殊医薬品やサプリメントを使用していた選手が
多かったといわれます。
どんな合成アミノ酸サプリメントも「筋肉量増強用途は短期間に限る」と注意書きがあります。
化学合成が始まってからまだ数十年の歴史。将来の安全性が未明だからです。
長期摂食の有害性有無は実績を積み重ねたこれからの研究になるでしょう。
2. 危険なアミノ酸バランスの崩壊(Amino Acid Imbalances)
天然の食材では各種の天然のアミノ酸がバランス良く配合され、自然界の様々な物質が
アミノ酸の副作用を制御していると考えれています。
合成アミノ酸の健康情報は米国の「ニュートリション誌」で頻繁に採り上げられていますが
最も恐れられているのはアミノ酸バランスの崩壊。
あるグループの合成アミノ酸は小腸に吸収された後、小腸の壁から血流に流入させる役割を
持つ運び屋(トランスポーター)を異常にあふれさせて、その機能を失なわせるそうです。
そのために食事から得られた各種のアミノ酸まで血流に入れなくなりアミノ酸バランスが大きく
崩れます。
フィットネスクラブで高分量の合成分岐アミノ酸が売られる時代ですが、目先の体力増強に
惑わされて長期的な健康維持を損なわぬようにするのが賢明でしょう。
3. 肺疾患や心臓病に関与する合成システイン
Nアセチルシステイン(N-acetylcysteine)と呼ばれるシステイン(cysteine)の大量摂取は、
ある種の化学物質を生成し、必要量の酸素取入れを阻害します。
体機能がそれに反応した結果、心臓から 血液を送り出す血管系が狭まるために、
肺の血圧を高め、肺疾患(Pulmonary Disease)や心臓肥大(swelling)に
リンクするといわれています。
システインは食材からの天然アミノ酸でも過剰摂取は動脈硬化などの原因となります。
「動脈硬化リスクを増幅する過剰ホモシステイン危険性を低減させるビタミンB群とは」
4. ヘルペスなどウィルス感染症を悪化させる合成分岐鎖アミノ酸
分岐鎖(ぶんきさ) アミノ酸と呼ばれるグループはヘルペスなどのウィルス感染症を
悪化させるといわれます。
ウィルス感染症の疑いがあるときは合成分岐アミノ酸の摂取は控えるべきと言われます。
*分岐鎖アミノ酸(BCAA:Branched Chain Amino Acids)
5. 合成チロシン、合成フェニルアラニンは高血圧を招く
合成チロシン(Tyrosine)、合成フェニルアラニン( phenylalanine)は血圧上昇、
動悸、疲労感、イライラの原因となるといわれます。
特に抗うつ剤(antidepressants)モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO inhibitors)を使用中は
合成チロシン、合成フェニルアラニンの摂取は厳禁です。
6. 合成システインはインシュリンの糖代謝を妨げる
インスリンは、グリコーゲン合成酵素(glycogen synthase)を活性化させ、
グリコーゲン 合成を促進させますが、合成システイン(Cysteine)はその機能を失効させます。
合成システインはインスリン細胞を変形させて糖代謝機能を失わせるといわれます。
糖尿病疾患や予備軍には危険なアミノ酸です。
また他の慢性疾患で投薬されている方は腎臓、肝臓負担が大きくなっていますから
合成システインの摂取は避けるべきといわれます。
健康不調の有無にかかわらず摂取は直ちにやめるべきでしょう。
合成アミノ酸は摂食の歴史が浅く、安全性、安全摂取量は、まだ結論が出せる段階ではありませんが
健康人でも、その摂取を3か月以上連続で続けるべきでないというのが信頼すべき定説となっています。
筋力増強のために、しばしばアミノ酸を常用しているアスリートが腎臓機能障害を
発症している実例が多いそうです。
アスリートは肉類などのたんぱく質摂取を中心に均整の取れた食生活、適正な負荷を筋肉にかけた
ウェイトトレーニングが推奨されています。
7. 合成アミノ酸によるカルシウム損失と骨粗鬆症(Osteoporosis)
“American Journal of Clinical Nutrition” 誌によれば、合成タンパク質や合成アミノ酸サプリメントの
摂取はカルシウム損失の重大なリスクファクターとなる信頼すべき研究があるそうです。
「合成アミノ酸により腎臓機能が害されてカルシウム吸収に必要な機能(bone resorption)が失われ
骨粗しょう症(osteoporosis)の原因となる」
8. 日常生活とアスリートのアミノ酸必要量
平均的な体格の米国人はヒレ牛肉ならば400gから500gの摂食量が珍しくありません.
天然アミノ酸の宝庫といえども過剰摂取は有害です.
一般的な成人男性のグリコーゲン可能貯蔵量は、肝臓に100gくらい、
筋肉に 300g程度と言われており、余剰は脂肪となり肥満の原因となります。
一般的な方に推奨されるアミノ酸総量は0.8g/ポンド。
㎏換算すると60キロの方で約105g。
余剰アミノ酸は体内にそのままの形で蓄積されわけではなく、
グルコース(ブドウ糖:glucose)に変換され、エネルギーとして燃やされるか、
脂肪や多糖類の動物グリコーゲン(glycogen)として肝臓やさらに変化して筋肉に蓄えられます。
「Advanced Fitness Assessment and Exercise Prescription」という研究がありますが
マラソン、サッカーなどハードな持久力が必要なアスリートは一日
1.2 to 1.4 grams /ポンドのタンパク質が必要量。
筋力増強が必要なアスリートで1.6 to 1.8 grams/ポンド
60キロの人で150gから200g。
90キロの人でも225gから300gくらいですから、米国人の通常の食事量で十分賄えます。
不必要なタンパク質摂取は筋肉中に十分なグリコーゲンを貯蔵する機能を損ないます。
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ノギのサプリはどれもが体内の生理的慢性的炎症防止、免疫力強化(抵抗力)を
主眼に長期摂取の安全性を配慮して設計されています。
ノロウィルス、インフルエンザなど感染症の猛威に威力の発揮が期待されますが、
体調不良時の増量は3倍/日が限度です。
摂取過剰による有用物質の体内生成機能低下を防ぐために、摂りすぎには
くれぐれもご注意ください。
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サプリメントの危険性は薬用ハーブと過剰な摂食量」