イタリア特別自治州の一つであるシシリー島のタオルミーナは、古代ギリシャ、カルタゴと
ローマ帝国の支配下にあった紀元前からの歴史を留める神殿や遺跡の多い小古都で、
風光明媚な欧州屈指の観光リゾート地です。
一度訪れたことがありますが、崖の上のギリシャ劇場と紺碧のイオニア海のコントラストは
絶景そのもので、元々欧州上流階級の避寒地だったのが今では四季を通じた
リゾート保養地となっており、多彩な南イタリア料理と特産のマーマレードに
舌鼓を打ったグルメの町でもあり「地上の楽園」とも呼ばれています。
目下欧州各都市やリゾート地は、テロルの恐怖に怯える(おびえる)中、この地の治安は極めてよく、
それがG7サミット開催地に選ばれた最大の自由だったと思います。
治安の恐れから海外旅行を控えている方々や、イタリア好きで、さらにローマ以北とは
異国観の強い南イタリアを極めたい旅のマニアには、是非お勧めしたい観光地の一つです。
今般のG7は、トランプ大統領、メイ首相、マクロン大統領にとって初のサミット参加でしたが、
当初危惧された足並みの乱れは辛うじて(かろうじて)避けられ、枠組みの価値は維持されたようで、
環境問題(パリ協定)の合意が得られなかった他は、国際テロ対策の強化、北朝鮮制裁、
自由貿易遵守など、落ち着くところに落ち着いたことは、安倍首相、メルケル首相の
両古参メンバーが無難にリーダー役を務めたことを評価すべきでしょう。
保護貿易に拘った(こだわった)アメリカファーストも、トランプが渋々ながら矛先を収め、
玉虫色の声明に纏められたことで、世界経済への悪影響が回避されたと思われます。
尤も(もっとも)サミットメンバーではなく、国連の常任理事国として絶えず拒否権を行使する“
中国とロシア”が国際法に悖る(もとる)横暴を繰り返す以上、
世界の安全と安心は当面得られそうもなく、今後ともG7にとっても国連にとっても、
難解なる課題として残されたのも止む無い成り行きでしょう。
北朝鮮が29日早朝スカッド改良型ミサイルを打ち上げ、日本海の我が国経済水域内に落下しました。
これで3週連続の発射となり、本年に入って、なんと9度目で、オバマ対話外交の失敗から、
野放し状態となった金正恩政権は、着々と核開発を推し進め実験を重ねる一方、
ミサイル開発を成功させ、軍事力増強を加速させ、最早ブレーキが利かない暴走車と
化してしまっております。
国連加盟193ケ国中162ケ国との国交があり、内105ケ国もと交易があるだけに、
これまでのような生温い軟(やわ)な制裁など“暖簾に腕押し”“糠に釘”で、
抜本的な抑制力効果もなかったということです。
中でも、地政学上緩衝地帯となっているこの国と切っても切れない関係を構築してきた
隣国の中国とロシアが本腰を入れてより効果的な制裁に踏み切らない限り、
打つ手はないと考えるべきでしょう。
過日の首脳会談で、トランプが習主席に北への圧力を強化するよう依頼したものの、
その後何ら変化が認められない以上、中国のコントロールが不可能であることを露呈しており、
同じような観点からも、ロシアの働きかけにも期待が持てないとするのが、当然でしょう。
ましてや、韓国に“従北・親中・反米”の文在寅政権が誕生しましたが、
政治体制は水と油、経済力に雲泥の差がある南北両国の融和なんて「絵空事」であり、
経済統一に至っては、文字通り「悪夢」に過ぎないと考えられます。米国分析サイト情報によると、
北朝鮮には核開発関連施設がおよそ百か所もあり、このままではレッドラインの読み違えなり、
アクシデントが起こり得るので、米国との衝突の可能性が高まっており、
6月の核実験(又はICBM発射)情報まで飛び交っています。
日米中韓を分断させるべく、当面何を仕出かすか、目が離せません。
但し、既述のごとき動静に痺れを切らしたトランプ政権が、南シナ海問題や貿易赤字での対立を
深める中国に対して威嚇(いかく)と牽制(けんせい)を兼ねて、独自に北朝鮮への強烈な
金融制裁と軍事オプションを組み合わせた表裏一体の処置に踏み出すことも想定されます。
既にクリミヤ問題を受けてロシアに課した金融制裁が功を奏し、北朝鮮のロシア銀行を介した
金融取引も困難を極め、代わりに国内外金融の過半を中国に依存する形をとっていることを
把握している米国が、北朝鮮をテロ支援国家に指定することに反対している中国の
息の根も止める一石二鳥に通じる次の一手を打たない保証はなさそうです。
冷戦終結後、日本をはじめ先進諸国の多くのリベラルな評論家やメディアが「政経分離」を
唱えた結果、多くの企業が中国進出を急いだのもつい昨日の出来事でした。
しかし、現実は政治と経済は表裏一体であり、いざ外交に問題が生じた時、企業経済リスクにも
直結することを自覚しておくことが肝要です。
朝鮮半島の問題も、南シナ海の問題も、「目に見えない経済リスク」に備えて置く必要性を痛感し、
民間企業の東アジア戦略を今一度点検しておくことを提言する次第です。
こうした東アジアの一触触発の危機に加えて、IS,シリア、イラン、中央アジア、トルコ、
イスラエル、サウジなどが絡む火種と政治・宗教闘争の絶えない中東問題、さらには、
英対独仏にNATOの対露戦略も絡む主導権争い、独の一人勝ちユーロ経済ゲームの
敗者たちの怨嗟(えんさ)暴発が、相互に負の影響を拡散し、東西冷戦終了後、
長らく太平の眠りを貪って(むさぼって)来た”世界の常識“をあざ笑うかのように、
地球市民を深刻な事態へ追い込もうとしております。
現下の地球情勢は、決して「桃源郷」ではないのであって、「良い国」とだけ付き合い
「悪い国」は遠ざけるといった単純明快な正義感は現実的では有り得ず、
全く通用しない訳ですから「最悪の国」や「より悪い国」との付き合いは避けても
、ある不可避な条件下に置かれた場合「悪い国」とも適宜(てきぎ)付き合うのが国益上、
ベターな選択であるケースも出てくるので、それも混沌(こんとん)と激動の時代の
知恵なのかもしれません。
そんな中、国防・国益を再優先した危機対応策を早急に詰めなければならないのにも拘らず、
平和ボケ日本人と国会が、民進党と共産党が左派メディアの印象操作や反体制観の決めつける
些末(さまつ)な醜聞や策動に踊らされ、相も変わらず”不毛な政治的泥試合“を止めないことに、
嘆きを通り越して怒りさえ覚えます。
遅きに失したものの、やっと政府から憲法改正論議が提起されたことは、
これまで左派政治家や言論界の倒錯した法理を説く勢力により歪められ(ゆがめられ)、
多くの足枷(あしかせ)を課せられた自衛隊法、安保法制に関する空虚な言論を封じ込め、
今こそ我が国の国益命題を全うして頂きたい次第です。
現行法では、「有事」の際「在外邦人の救出・保護を自衛隊が出来ない」ことを、
どれだけ多くの日本人が認知しているのでしょうか。
「助けを待つ国民を救出する”究極の自衛“は憲法違反」と断じている空論こそ、
一刻も早く排斥すべきです。
トランプ大統領がFBI長官を解任したことから、大変な激風に襲われており、
大手メデイアの論調は、さも弾劾ありきの如く苛烈を極めております。
しかしながら、米国史に大統領弾劾事例は一度もない(訴追は二度あったが)ことを踏まえて
観察すると、そこは米国主要メディ発、その転用のカナダや日本のマスコミの上滑り過ぎで、
まったく背景が異なるウォーターゲート事件(ニクソン辞任)と、比較対象にもならない
司法と未熟な民主政治を展開する韓国が朴大統領を弾劾に追い込んだ事例などに
準(なぞら)えてなのか、やや先走った空論としか思えません。
米国の場合、訴追権を持つ下院が司法委員会の厳正な訴因調査の上、過半数で勧告し、
下院議員の過半数で上院へ送り、裁判権を持つ上院が公聴会・審議を経て議員数の三分の二以上の
支持で初めて弾劾が成立するという極めてシビアーなハードルが課せられています。
米国現地からの情報では、トランプ陣営とロシア諜報部が共謀して選挙を操作した件については、
何ら具体的根拠も確証されていないし、コミー長官解任の実相は(大統領直接ではなく)
上長のセッションズ司法長官の提言であったことなどが判明してきております。
目下共和党が上下両院の過半数を制しており、最高裁もトランプが新たに任じた新判事を加え、
保守派が多数を占めている現状から鑑み、弾劾はまずあり得ないと見るのが妥当なようです。
トランプ政権が中々戦略的政策を具現化出来ない背景は、政治経験のなさ(政官界への人脈の過少さ)と、
主流メデイアやワシントン政界を永年牛耳って(ぎゅうじって)来た民主党系官僚やロビーストの
抵抗がまだ強すぎて未だに2割ほどの自陣官僚しか配属出来ていない(8割がオバマの申し子たち)
というハンデキャップを解消しきれていないことが手枷(てかせ)足枷(あしかせ)となっていると
言われています。
もう暫くは時間的猶予を与えてあげると、そのうち成果が見えてくるように思われます。
筆者としても、実業家人生の視座から政治を眺望する際、経時評価にも気を付けたいと思っています。
事業経営の実務を離れて数年経ちますが、経済や経営管理に関する記事・論評には目が留まり、
時には意見具申したくなります。
適切な経営指針で社員をリードし、顧客やステークホルダーへの
責務を全うするためには、歴史に学び、世情に正面から向かい合って、ベストだと信じる
理念と指標を打ち出す必要があります。
それには社会構造の変化をデータから正しく読み取る必要があるのですが、政管民が提示する
各種統計や指標には、データ収集方式の連続性に囚われ急激な変化を捉えきれていない
統計や解析が往々にして見受けられ残念に思います。
国家指数のGDP,GNIの精度に始まり、流通ならデパート、スーパー、ディスカウンター、
コンビニ、電子商取引などの推移、卸と小売りシステムの激変、業種なら重工業から軽工業、
電器電子からITへ、消費なら家計から個人への推移等々、そして景気指標と株価指数の算定など、
思い切った統計改革の必要性を痛感しております。
国際基準に拘る(こだわる)か、内閣府や日銀間の調整や、発表頻度や速報性にも配慮が問われますが、
行政情報に関しても、所管官庁がそれぞれ自前統計に固執して、縦割り行政の欠陥が是正されない
ケースも多く、今後の大きな課題だと思量します。
現状では、経済や景気の実態とトレンドを正確に反映しているとは、とても信頼できないので、
一刻も早く旧態依然の方式を捨て、改善改革に取り組み、中でも最重要なGDP・GNIの基礎統計など、
関係省庁の連携と調整が喫緊の宿題だと思います。
最後に、日経平均株価の歪みについて触れて置きます。日経新聞朝刊で掲載される
時価総額加重平均ベースの株価収益率と時価総額をなくしてウェートを加味した
「指数ベースの株価収益率」の両者には数年間の平均で25%弱もの乖離(かいり)
(+45%からマイナス8%まで)があるとの記事を目にしたことがあります。
因みに、米国のダウ平均では、最もウェートの低い銘柄と、高い銘柄では、その差が
7.5倍程度なのに対し、日経平均では、何と7百倍(後述の例証参照方)もあり、
異常性が顕著です。
何でも、日経平均は、株式額面制度が廃止された後、「みなし額面」という世界でも
異例の方式を取っており、世界の主要指数に存在しない不可思議な株価指数を生み出しているようです。
例えばみなし額面が大きく、株価が低い銘柄のウェートが極端に低くなり(東京電力が0.01%など)、
逆の場合異常に高いウェート(ファーストリーテイリングが7.05%など)となってしまう
大きな欠陥を内包しているのです。
その歪みは業種別でも歪みを惹起(じゃっき)し、採用銘柄の選択でも時価総額が高すぎる理由から
任天堂、村田製作所、オリックスなどが採用されないといった不合理性を齎して(もたらして)います。
こうした歪みは、結果的に健全な調整を難しくして市場のエネルギーを奪ったり、
本来もっと上がるべきなのに上げ止まったり、もっと下がるべき時に下げ止まったり、
とにかく不可解な値動きが避けられないのはやはり問題でしょう。
他にも、ウェートの高い銘柄への思惑買いなどで、経済合理性以上に割高をつけたりする
ケースもあるようで、内外投資家にとっても、困ったものです。ここは日経新聞社としても、
米S&P500指数、ナスダック指数、独ダックス指数、香港ハンセン指数など
世界の代表的な指数方式を参考に、政府・日銀や東証、そして民間識者など多方面との
調整・諮問を謀り、一刻も早く指数の歪みを正して頂きたい次第です。