1. 幹細胞が最も多く存在する皮膚
気温が低下して秋らしくなると、紫外線により損傷した肌や髪が
気になる方が多いと思います。
紫外線暴露過多は全身に拡がりやすい幹細胞的性格を持つ皮膚がんが
恐れられていますが、有害性はそればかりではありません。
紫外線や放射線への暴露は遺伝子変異の原因となり、変異した遺伝子は
元に戻りにくいため、発がんリスクが非常に高いままとなります。
京都大学の山中博士がips細胞研究に皮膚の幹細胞を使用したこと
はよく知られたことですが
ロックフェラー大学*のイレーヌ・フュークス博士(Elaine Fuchs, Ph.D.) によれば、
幹細胞が最も多く存在するのは皮膚。
皮膚は常に体を外敵から防御する障壁となり、髪の継続的な再生や表皮の修復を
担っています。
博士は表皮の幹細胞が各々の環境下でどのように免疫細胞、皮膚細胞と
応答しているか、どのような時に機能不全に陥るかの研究を通じ
加齢とガン予防の研究を続けています。
*The Rockefeller University:元はロックフェラー研究所.
世界有数の医学、生物学研究を出発点とした大学.
創立1901年.
所在はニューヨーク・マンハッタン島ミッドタウンのイーストリバー沿い.
2. 紫外線暴露で損傷された皮膚の遺伝子変異と8OHdG値
紫外線や環境化学物質・電離放射線の暴露過多では8OHdG値が
非常に高くなりますが、遺伝子変異が起きて総体的に発がんリスクが
高くなっていることを意味します。
8OHdGは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による
分析法が進化したため頻繁にチェックできるようになった
遺伝子変異のマーカー。
8OHdG(8ヒドロキシデオキシグアノシン)値が高くなるのは
遺伝子の構成タンパク質である塩基の一種グアニンが
酸化された状態で、遺伝子が酸化により損傷を受けていることを表します。
特に糖尿病、高脂血症、肥満症状がある場合は、紫外線暴露による
遺伝子変異リスクがさらに高くなりますから、暴露を最小限にし、
発がんを抑制する必要があります。
3. 良質な亜鉛(ジンク)の摂取が遺伝子変異を抑制
紫外線や環境化学物質・電離放射線の暴露過多で
環境が遺伝子変異を起こしやすいと思われる方は特に
食生活、生活習慣に細心の注意を払い、ポリフェノール類摂取と
アミノ酸バランス、脂肪酸バランスへの常日頃からの配慮が
発がん抑制に繋がります。
Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safetyの最新号で
ニューヨーク大学医学部*のボンテンポ博士(Amanda Bontempo)はこの状態に陥った人に
良質な亜鉛(ジンク:Zinc)の摂取を薦めています。
ジンクは有害紫外線対策の鍵となるミネラルですが紫外線遮断(UV blocking)に
超優れた力を発揮するばかりでなく様々な細胞の損傷や表皮の損傷を癒します。
*Newyork Univercity(NYU) Langone Medical Center
Member of the Academy of Nutrition and Dietetics including Oncology Nutrition practice group.
ニューヨーク大学のランゴーニ付属医療センター(Langone Medical Center)の所在は
ロックフェラー大学近くのミッドタウン.
ニューヨーク大学と病院施設に加え、マンハッタン島を中心に点在する30以上の救急センターでは
33,000人以上の職員が働いている全米有数の大学総合医療機関.
4. 人体の最重要ミネラルの一つが亜鉛(ジンク)
タンパク質、炭水化物、脂肪の代謝にジンクは欠かせません。
ジンクは体組織の様々な部分で100以上の酵素と共に働き、
酵素の機能発揮に必須の成分ですが、その一つが
消化作用(gastrointestinal activities)の補助。
ジンク無しには食物の消化、吸収作用が機能しないといわれます。
ヒトのライフスタイル、栄養分摂取に最も重要な主要ミネラルと
いえますが、ジンクは体内蓄積量が少なく、かつ少量の摂取で効能を
発揮するためにその重要性が見落とされている傾向があります。
まさに腎臓と同じく、一般的な、関心、認識が薄いミネラルです。
日常習慣としてジンク不足(Zinc deficiency)をチェックしましょう。
ニューヨーク大学のボンテンポ博士は下記の兆候に注目しています。
a.日常的に胃の具合がすっきりしない
(Your Stomach Is Constantly Upset)
b.運動後の筋肉痛の回復がとても遅い
(muscles ache days after a workout)
c.傷が治りにくい
(Slows wound healing)
d.味や臭いに鈍感になっている。
(Your Sense of Smell or Taste Is Off)
e.風邪をひいたような、気分がすぐれないことが多い
(You’re Always Sick.impaired immune response)
:免疫に関わる細胞(T細胞)を産生する胸腺の働きが不活発化
f.暗さへの慣れや対応が難しい
(dark adaptation:Your Eyes Take Forever to Adjust to the Dark)
:ジンクは眼の健康に必須なビタミンAの産生になくてはならないミネラル。
g.注意力散漫。
(You Have Trouble Paying Attention)
h.衣服が小さくなる(肥満)
(Your Clothes Don’t Fit)
:ジンクは細胞の代謝に必須なミネラル。
6. ジンクの摂取は食材からが基本